• ホーム
  • ディスオーダー領域において進化的に保存された配列のプロテオームワイドな発見

ディスオーダー領域において進化的に保存された配列のプロテオームワイドな発見

Proteome-Wide Discovery of Evolutionary Conserved Sequences in Disordered Regions

Research Resources

Sci. Signal., 13 March 2012
Vol. 5, Issue 215, p. rs1
[DOI: 10.1126/scisignal.2002515]

Alex N. Nguyen Ba1,2, Brian J. Yeh3, Dewald van Dyk4,5, Alan R. Davidson6, Brenda J. Andrews4,5, Eric L. Weiss3, and Alan M. Moses1,2,7,8*

1 Department of Cell and Systems Biology, University of Toronto, Toronto, Ontario M5S 3B2, Canada.
2 Centre for the Analysis of Genome Evolution and Function, University of Toronto, Toronto, Ontario M5S 3B2, Canada.
3 Department of Molecular Biosciences, Northwestern University, Evanston, IL 60208, USA.
4 The Terrence Donnelly Centre for Cellular and Biomolecular Research, University of Toronto, Toronto, Ontario M3S 3E1, Canada.
5 Banting and Best Department of Medical Research, University of Toronto, Toronto, Ontario M5G 1L6, Canada.
6 Department of Biochemistry, University of Toronto, Toronto, Ontario M5S 1A8, Canada.
7 Department of Computer Science, University of Toronto, Toronto, Ontario M5S 2E4, Canada.
8 Department of Ecology and Evolutionary Biology, University of Toronto, Toronto, Ontario M5S 3B2, Canada.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: alan.moses@utoronto.ca

要約:ヒトのタンパク質の少なくとも30%には、安定したコンホメーションをとらない、本質的にディスオーダーな領域が存在すると考えられる。酵素機能がなく、タンパク質ドメインがほとんどないにもかかわらず、ディスオーダー領域はタンパク質の調節において機能的に重要であり、短い直鎖モチーフ(タンパク質間相互作用に関与する短いペプチド配列)をもつが、ほとんどのディスオーダー領域において機能的なアミノ酸残基はわかっていない。われわれは、保存されているということは機能的残基を示しているという仮説に従って、ディスオーダー領域内の進化的に保存された配列を検索した。系統発生学的隠れマルコフモデル(phylo-HMM)を用いて、ディスオーダー領域内の機能配列を、このような配列が2〜3アミノ酸長しかない場合でさえも正確かつ特異的に予測した。われわれが同定した保存配列のなかには、既知の短い直鎖モチーフと新たに同定された短い直鎖モチーフがあり、プロテインキナーゼCbk1とその基質の相互作用を仲介すると考えられるモチーフなど、主要な例を実験的に検証した。さらに、タンパク質相互作用ネットワークにおいて多数のパートナーと相互作用するハブタンパク質に、これらの保存配列がきわめて豊富に存在することを観察した。われわれの解析は、ディスオーダー領域内の機能的残基の系統的な同定を可能にし、同領域内のアミノ酸の少なくとも5%が機能にとって重要であることを示唆した。

A. N. Nguyen Ba, B. J. Yeh, D. van Dyk, A. R. Davidson, B. J. Andrews, E. L. Weiss, A. M. Moses, Proteome-Wide Discovery of Evolutionary Conserved Sequences in Disordered Regions. Sci. Signal. 5, rs1 (2012).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2012年3月13日号

Editors' Choice

アポトーシス
スフィンゴ脂質は細胞死の閾値を低下させる

Research Article

エンドサイトーシスの選別によるEGF転写応答の調節

Research Resources

ディスオーダー領域において進化的に保存された配列のプロテオームワイドな発見

Perspectives

スルフェニル化からスルフヒドリル化へ:チオレートが我慢すべきもの

最新のResearch Resources記事

2025年04月22日号

健常マウスと肥満マウスの肝臓における飢餓応答性代謝ネットワークの構造的堅牢性と時間的脆弱性

2025年04月15日号

発達時のシナプス刈り込み過程での運動ニューロントランスラトームの動的調節

2025年04月15日号

マイクロRNA miR-124を誘導する薬物が、レチノイン酸耐性神経芽腫細胞の分化を可能にする

2025年03月25日号

内因性Gαi活性の高感度バイオセンサーにより内因性GPCRアゴニスト応答の正確な特性評価が可能に

2025年02月25日号

シークエンシングに基づくスクリーニング法により線虫の非生存性変異体からEGFRシグナル伝達の調節因子を同定