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細胞生物学
オートファジーで疾患と闘う

Cell Biology
Fighting Disease with Autophagy

Editor's Choice

Sci. Signal., 19 February 2013
Vol. 6, Issue 263, p. ec45
[DOI: 10.1126/scisignal.2004078]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

S. Shoji-Kawata, R. Sumpter Jr., M. Leveno, G. R. Campbell, Z. Zou, L. Kinch, A. D. Wilkins, Q. Sun, K. Pallauf, D. Macduff, C. Huerta, H. W. Virgin, J. B. Helms, R. Eerland, S. A. Tooze, R. Xavier, D. J. Lenschow, A. Yamamoto, D. King, O. Lichtarge, N. V. Grishin, S. A. Spector, D. V. Kaloyanova, B. Levine, Identification of a candidate therapeutic autophagy-inducing peptide. Nature 494, 201–206 (2013). [PubMed]

A. García-Sastre, Beneficial lessons from viruses. Nature 494, 181–182 (2013). [PubMed]

オートファジーは、細胞が栄養欠乏の時期を生き延び、欠陥のあるタンパク質やオルガネラを処理する分解過程である。オートファジーによるウイルスや他の病原体の除去は免疫応答の重要な側面であり、HIV-1などの一部のウイルスはオートファジーを抑制することによって除去を免れる(García-Sastreのコメント参照)。Shoji-Kawataらは、HIV-1のタンパク質Nefがオートファジータンパク質のベクリン1に結合して阻害することに注目して、この物理的結合に必要なベクリン1の18–アミノ酸残基の部位を免疫沈降アッセイを用いて特定した。彼らはこの配列をHIV-1タンパク質Tatのタンパク質導入ドメインと結合させ、細胞透過性ペプチドTat–ベクリン1を作製した。Tat結合スクランブルペプチド(Tat-スクランブル)とは異なり、Tat–ベクリン1ペプチドは、ベクリン1の下流成分に必要な標準的な機構を介して各種細胞株においてオートファジーを誘導した。生化学的解析および質量分析の結果、Tat–ベクリン1はGolgi-associated plant pathogenesis–related protein 1(GAPR-1)に結合するが、Tat-スクランブルは結合しないことが明らかになった。HeLa細胞におけるGAPR-1のノックダウンによって、Tat–ベクリン1非存在下でのオートファゴソームの基礎生成量が増加したことから、GAPR-1は内在性のオートファジー抑制因子であると考えられた。顕微鏡解析によって、内在性ベクリン1はGAPR-1によってゴルジ体に隔離されていたが、Tat–ベクリン1ペプチド存在下ではベクリン1が細胞質に再分布していた。HIV-1および西ナイルウイルス(WNV)などの様々なウイルスの感染前に細胞をTat–ベクリン1で処理するとウイルスの複製が低下したが、Tat-スクランブルによる前処理では低下しなかった。さらに、Tat–ベクリン1は、ハンチンチンタンパク質蓄積細胞モデルにおけるタンパク質凝集体を減少させたが、Tat-スクランブルは減少させなかった。免疫組織化学的解析によって、Tat–ベクリン1はマウスにおいて毒性を示すことなくオートファジーを誘導した。最後に、WNVまたはチクングニヤウイルスに感染したマウスにTat–ベクリン1を投与するとウイルス複製が低下し、生存率が増加した。これらのデータを総合すると、GAPR-1が内在性のオートファジー抑制因子であることが確認され、ペプチドによるオートファジーの誘導がさまざまなヒト疾患の治療に有益である可能性が示唆される。

J. F. Foley, Fighting Disease with Autophagy. Sci. Signal. 6, ec45 (2013).

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2013年2月19日号

Editor's Choice

細胞生物学
オートファジーで疾患と闘う

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