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医学
インフラマソームと移植

Medicine
The Inflammasome and Transplantation

Editor's Choice

Sci. Signal., 8 October 2013
Vol. 6, Issue 296, p. ec240
[DOI: 10.1126/scisignal.2004791]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

D. Jankovic, J. Ganesan, M. Bscheider, N. Stickel, F. C. Weber, G. Guarda, M. Follo, D. Pfeifer, A. Tardivel, K. Ludigs, A. Bouazzaoui, K. Kerl, J. C. Fischer, T. Haas, A. Schmitt-Gräff, A. Manoharan, L. Müller, J. Finke, S. F. Martin, O. Gorka, C. Peschel, J. Ruland, M. Idzko, J. Duyster, E. Holler, L. E. French, H. Poeck, E. Contassot, R. Zeiser, The Nlrp3 inflammasome regulates acute graft-versus-host disease. J. Exp. Med. 210, 1899–1910 (2013). [Abstract] [Full Text]

白血病およびリンパ増殖性障害などの悪性腫瘍患者の治療には、同種造血細胞移植(allo-HCT)が利用されている。成功例ではドナーのT細胞がレシピエントの免疫系を再構築するが、移植片対宿主病(GvHD)ではドナーのT細胞がレシピエントの組織を標的とし、この重篤合併症により患者が死亡することもある。移植前処置の一環として、レシピエントには放射線照射と細胞障害性薬物による処置が行われる。しかし、この処置は組織の損傷(特に皮膚と腸)を引き起こし、微生物産物が他の組織に浸潤することを可能にし、結果的に、後にドナーに由来するT細胞を活性化させる炎症促進性サイトカインが産生される。Jankovicらは、放射線照射または細胞障害性薬物によりプレコンディショニングしたマウスを用いたallo-HCT実験を行い、炎症促進性サイトカインであるインターロイキン-1β(IL-1β)を早期に阻害することで、GvHDの重症度が軽減することを見いだした。IL-1βは次の2段階プロセスで産生される。最初に、微生物産物が核因子κB–依存性のプロ-IL–1β産生を刺激する。次にこれが、インフラマソームとして知られるタンパク質複合体の活性化に応答して、カスパーゼ1によりプロセシングされる。著者らは、ドナーでは欠失させず、レシピエントマウスにおいてインフラマソーム構成要素のNLRP3を欠失させたときGvHDは緩和することを見いだした。レシピエントマウスに抗生物質を投与したとき、IL-1β産生量が低下した。宿主の樹状細胞はIL-1βの主要な供給源として特定されており、炎症性インターロイキン17(IL-17)産生T細胞の数は、野生型レシピエントマウスがNRLP3欠損マウスに比べ多かった。最後に、GvHDを発症した移植患者の末梢血細胞は、GvHD非発症の移植患者の同細胞に比べ活性型カスパーゼ1(インフラマソーム活性化を示す顕著な特徴)を豊富に含み、GvHD発症患者ではGvHD非発症患者に比べ腸と皮膚中にIL-1βが多く認められた。まとめると、これらのデータは、NRLP3インフラマソームの活性化がIL-1βおよびIL-17依存性の炎症反応を亢進し結果的にGvHDに至ること、また、NLRP3インフラマソームの構成要素または微生物叢を標的にすることが、GvHDの治療法になり得るだろうことを示唆している。

J. F. Foley, The Inflammasome and Transplantation. Sci. Signal. 6, ec240 (2013).

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2013年10月8日号

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インフラマソームと移植

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