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筋肉生物学
長鎖「非コードRNA」に隠れたカルシウム制御因子

Muscle Biology
Calcium regulator hidden in a long “noncoding” RNA

Editor's Choice

Sci. Signal., 3 March 2015
Vol. 8, Issue 366, p. ec48
DOI: 10.1126/scisignal.aab0080

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

D. M. Anderson, K. M. Anderson, C.-L. Chang, C. A. Makarewich, B. R. Nelson, J. R. McAnally, P. Kasaragod, J. M. Shelton, J. Liou, R. Bassel-Duby, E. N. Olson, A micropeptide encoded by a putative long noncoding RNA regulates muscle performance. Cell 160, 595–606 (2015). [PubMed]

筋収縮は、リアノジン受容体(RyR)を通して筋小胞体(SR)から放出されるCa2+によって調節される。SRに貯蔵されるCa2+の量は、SR膜上のSERCAファミリーのCa2+-ATPアーゼによって調節される。心筋および遅筋骨格筋では、それぞれホスホランバン(PLN)およびサルコリピン(SLN)と呼ばれる、構造的および機能的に関連した低分子量のタンパク質がSERCAを阻害し、貯蔵されるCa2+量を制限することで、収縮性を制御する。Andersonらは、速筋骨格筋においてこの機能を担うタンパク質を同定し、ミオレグリン(MLN)と名付けた。予想外なことに、この46個のアミノ酸から成るタンパク質は、長鎖非コードRNAとして注釈が付けられたRNA内にコードされていた。MLN RNAのin vitroでの転写および翻訳により、MLNについて予測されたサイズである5kDのペプチドが生じ、筋芽細胞株C2C12においてCRISPR/Cas9を介した組み換えによりタグ付加MLNを導入しても、予測されたサイズのタンパク質が生じた。RNA分析から、マウスは心筋に特異的にPLNを発現し、遅筋骨格筋において発達初期にSLNを発現し、速筋への移行後に胎仔および成体の骨格筋においてMLNを発現することが示された。構造モデリングから、MLNがらせんモチーフをとり、PLNやSLNと同じ様式でSERCAに結合することができることが予測された。マウス骨格筋に導入された緑色蛍光タンパク質(GFP)タグ付加MLNは、SERCAと共局在し、赤血球凝集色素(HA)タグ付加MLNは、SLNおよびPLNと保存された残基に依存する様式で、SERCAと共免疫沈降した。C2C12細胞または非筋肉細胞株におけるCa2+イメージングから、MLNの過剰発現により、それぞれ、内部貯蔵へのCa2+取り込みが減少し、RyRにより放出されるCa2+のピークが低下した。MLNプロモーター領域には、転写因子MyoDおよびMEF2に対するコンセンサス結合部位が存在した。レポーター分析から、これらは発現促進において機能的であることが示され、クロマチン免疫沈降分析から、C2C12細胞においてMyoDの結合が確認された。MLNプロモーターにより調節される導入LacZ遺伝子は、マウスにおいてMEF2およびMyoD結合部位に依存する筋特異的な発現を示した。TALENを介した組み換えによりMLNがノックダウンされたマウスは、強制走行試験でパフォーマンス向上を示し、これらのマウスから分離された筋芽細胞は、SR Ca2+の増加およびSRから放出されるCa2+のピーク増大を示した。この研究から、RNAを分類することの難しさが明らかになり、非コードであると考えられている配列にコードされているかもしれない、短鎖の機能的に重要なタンパク質、すなわち「マイクロペプチド」、の探索を続ける必要があることが明らかにされた。

N. R. Gough, Calcium regulator hidden in a long “noncoding” RNA. Sci. Signal. 8, ec48 (2015).

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2015年3月3日号

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