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ウイルス侵入経路がヒト形質細胞様樹状細胞によるI型インターフェロンの産生方法を決定する

Viral entry route determines how human plasmacytoid dendritic cells produce type I interferons

Research Article

Sci. Signal., 3 March 2015
Vol. 8, Issue 366, p. ra25
DOI: 10.1126/scisignal.aaa1552

Daniela Bruni1, Maxime Chazal1, Laura Sinigaglia1, Lise Chauveau2, Olivier Schwartz2, Philippe Desprès3,4, and Nolwenn Jouvenet1,*

1 Department of Virology, Viral Genomics and Vaccination, UMR CNRS 3569, Pasteur Institute, 75015 Paris, France.
2 Department of Virology, Virus and Immunity, UMR CNRS 3569, Pasteur Institute, 75015 Paris, France.
3 Department of Infection and Epidemiology, Pasteur Institute, 75015 Paris, France.
4 UMR U1187, Processus Infectieux en Milieu Insulaire Tropicale (I2T team), Cyclotron Réunion Océan Indien, 97490 Saint-Denis, La Reunion, France.

* Corresponding author. E-mail: jouvenet@pasteur.fr

要約 形質細胞様樹状細胞(pDC)は稀な免疫細胞型であるが、ウイルス感染時にはI型インターフェロン(IFN)のもっとも重要な産生源となる。貪食されるRNAウイルスとRNAウイルス感染細胞は、エンドソームのパターン認識受容体(PRR)Toll様受容体7(TLR7)を用いてpDCによって検出される。われわれは、ヒトpDCおよびpDC様細胞株における黄熱病生ワクチンYF-17Dの複製が、細胞質PRRからなるRIG-I(retinoic acid-inducible gene I、レチノイン酸誘導性遺伝子I)様受容体(RLR)ファミリーに属するRIG-Iを通じて、I型IFNの産生を刺激することを示した。したがって、ヒトpDCは複製されたウイルスRNAを感知する。対照的に、pDCとYF-17D感染細胞を直接接触させると、TLR7依存的かつウイルス複製に非依存的にI型IFNの産生が刺激された。また、われわれは、RLR経路がTLR7経路の下流エフェクターであるインターロイキン1受容体関連キナーゼ1および4(IRAK1およびIRAK4)の活性によって抑制されることも示した。これは、両キナーゼが特異的PRRの下流で反対の役割を果たすことを示唆している。まとめると、これらのデータから、ウイルスは、その含有核酸の送達のされ方に応じて、同一細胞内でTLRまたはRLRシグナル伝達のいずれか一方を刺激しうる。

D. Bruni, M. Chazal, L. Sinigaglia, L. Chauveau, O. Schwartz, P. Desprès, and N. Jouvenet, Viral entry route determines how human plasmacytoid dendritic cells produce type I interferons. Sci. Signal. 8, ra25 (2015).

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英語原文を見る

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