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機械的シグナル伝達機構
テーラーメードのタリン機能

Mechanotransduction
Tailoring talin function

Editor's Choice

Sci. Signal., 14 April 2015
Vol. 8, Issue 372, p. ec90
DOI: 10.1126/scisignal.aab3213

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

B. Klapholz, S. L. Herbert, J. Wellmann, R. Johnson, M. Parsons, N. H. Brown, Alternative mechanisms for talin to mediate integrin function. Curr Biol. 25, 847–857 (2015). [PubMed]

タリンは、インテグリンを細胞骨格と連結する複数ドメインを有するアダプタータンパク質である。タリンのN末端頭部ドメインのインテグリン結合部位(IBS1)は、インサイドアウトシグナル伝達と呼ばれる、インテグリンの活性化を細胞外マトリックスとの接着の亢進と媒介するプロセスに重要である。インテグリンが細胞外マトリックスタンパク質に結合したとき、C末端ロッドドメインの第2インテグリン結合部位(IBS2)を介してタリンに対して力が加えられる。このプロセスはアウトサイドインシグナル伝達と呼ばれる。アウトサイドインシグナル伝達はタリンの立体構造を変化させ、タリンとアクチン細胞骨格を連結するビンキュリンへの結合部位を露出させる。タリンのN末端とC末端の両方にある結合部位も、アクチンと直接相互作用する。Klapholzらは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)では異なる細胞接着に対して異なるインテグリン‐タリン‐ビンキュリン複合体の立体配置が必要であることを見いだした。胚骨格筋の細胞外マトリックスへの接着を媒介するためには、タリンはIBS1と、ビンキュリン結合部位(VBS)またはC末端アクチン結合部位(ABD)のいずれかを必要とした。しかし、3つのドメイン(IBS1、VBS1およびABD)がすべて存在しているときにのみ、すべての筋が完全に接着した。IBS2は、タリンが胚骨格筋の接着を媒介するためには不要であった。一方、胚上皮の形態形成にはIBS2、VBSおよびABDが必要であったが、頭部ドメインのIBS1部分はこれに関しては不要であった。発達中の羽上皮の適切な接着のためには、4つのドメインすべてが必要であった。この場合、1つのIBSと、VBSまたはABDのいずれかを含んだ突然変異タリンは、部分的機能を保持していた。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)および超解像顕微鏡により、それぞれの場合のインテグリン‐タリン‐ビンキュリン複合体の立体配置が異なっていることが示唆された。羽上皮では、タリンは尾部‐尾部の配向で原形質膜内に沿って伸展し、IBS1、IBS2、ABDおよびVBSがすべて関与していた。胚上皮でも、タリンは尾部‐尾部の配向で原形質膜内に沿って伸展していたが、インテグリンの結合にはIBS2のみが関与していた。この場合、ABDは細胞質アクチンに結合し、VBDは膜結合アクチンやその他の膜構成要素との相互作用を媒介していた。筋接着部位ではタリンの頭部ドメインのみが、IBS1を介して膜のインテグリンと結合していた。残りのタンパク質は細胞質内に伸展し、VBSとABDの両方が細胞質アクチンとの相互作用を媒介していた。著者らは、筋接着のために膜からIBS2を引き離すには、ABDまたはVBSを介してタリンに加わる力が必要であると提案している。これらの所見は、インテグリン‐タリン‐ビンキュリン複合体の異なる立体配置が、タリンに対して、各組織が経験する異なる力を感知することを可能にしていることを意味している。

A. M. VanHook, Tailoring talin function. Sci. Signal. 8, ec90 (2015).

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2015年4月14日号

Editor's Choice

機械的シグナル伝達機構
テーラーメードのタリン機能

Research Article

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