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宿主病原体相互作用
エキソソームによる細菌の放出

Host-Pathogen Interactions
Evicting bacteria by exosome

Editor's Choice

Science Signaling 16 Jun 2015:
Vol. 8, Issue 381, pp. ec156
DOI: 10.1126/scisignal.aac7878

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

Y. Miao, G. Li, X. Zhang, H. Xu, S. N. Abraham, A TRP channel senses lysosome neutralization by pathogens to trigger their expulsion. Cell 161, 1306–1319 (2015). [PubMed]

O. A. Sergeeva, F. G. van der Goot, Kicking out pathogens in exosomes. Cell 161, 1241–1242 (2015). [PubMed]

要約  細胞は細胞内病原体を隔離し、リソソームと融合するオートファゴソーム内で分解することで、この病原体を除去することができる。リソソーム内の種々の酵素および抗菌ペプチドの活性は、酸性pHにより亢進する。Miaoら(Sergeevaらも参照)は、尿路病原性大腸菌(Escherichia coli)によるリソソームのpHの中和によって、これらの細菌が膀胱上皮細胞によりエキソソーム内に放出されることを見いだした。感染マウスの尿中の細菌は、トリトンX-100(宿主細胞膜を透過性にし、細菌膜には作用しない界面活性剤)で同時曝露されない限り、抗生物質であるゲンタマイシンに耐性であった。このことは、細菌が宿主細胞由来の膜内にカプセル化されていたことを示唆している。感染した膀胱上皮細胞の細胞外培地中の尿路病原性大腸菌は種々のエキソソームバイオマーカーと共局在し、エキソソームの放出を阻害するジメチルアミロリド(DMA)の感染マウス膀胱への適用は、尿路上皮中の細菌量を増加させ、大型の細菌凝集体の形成を引き起こした。膀胱上皮細胞では、尿路病原性大腸菌は単層の膜胞に取り込まれ、その後オートファゴソームに取り込まれた。オートファジーを増強するペプチドの感染マウス膀胱への適用は、細菌負荷を減少させたが、オートファジー構成要素であるAtg3が誘導性に膀胱上皮特異的ノックアウトされたマウスでは、細菌量が増加していた。尿路病原性大腸菌を含むオートファゴソームは、多胞体中の腔内小胞に輸送された。多胞体からリソソームへのカーゴの輸送に必要な種々の構成要素をノックダウンする、またはリソソームのエキソサイトーシスに必要なシナプトタグミン7をノックダウンすることで、感染膀胱上皮細胞におけるエキソソームの放出が遮断された。無害な大腸菌株も尿路病原性大腸菌もリソソームに局在化したが、無害な大腸菌株を感染させた細胞のリソソームは酸性で、尿路病原性大腸菌で感染させた細胞は酸性ではなかった。バフィロマイシンAによりリソソームの酸性化を阻害したところ、膀胱上皮細胞からのエキソソームの放出が増加した。これらの結果は、リソソームpHの中和が、細菌含有エキソソームのリソソームからの放出を誘発することを示唆していた。ムコリピンTRPカチオンチャネル(TRPML)はリソソーム上に位置し、エキソサイトーシスに必要なカルシウムを輸送する。TRPML3のノックダウンは、感染膀胱上皮細胞中の細菌の放出を減少させ、細菌量を増加させた。TRPML3は中性pHでリソソームからのカルシウム流出を媒介しており、TRPML3をノックダウンさせた膀胱上皮細胞では、pH非感受性またはカルシウム非伝導性の孔変異体を使って細胞を再構築したとき、細菌の放出はレスキューされなかった。このように、尿路病原性大腸菌がリソソームのpHを中和させることで分解を回避しようとするとするとき、TRPML3はこれを検知し、細菌を含むエキソソームの放出を誘発している。

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2015年6月16日号

Editor's Choice

宿主病原体相互作用
エキソソームによる細菌の放出

Research Article

TLR4刺激に対するマクロファージ応答の調整におけるパラクリンシグナル伝達の役割を、一細胞サイトカイン分泌解析によって明らかにする

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