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スフィンゴ脂質S1PのhTERTへの結合はタンパク質リン酸化をアロステリックに模倣することで核周辺においてテロメラーゼを安定化させる

Binding of the sphingolipid S1P to hTERT stabilizes telomerase at the nuclear periphery by allosterically mimicking protein phosphorylation

Research Article

Science Signaling 16 Jun 2015:
Vol. 8, Issue 381, pp. ra58
DOI: 10.1126/scisignal.aaa4998

Shanmugam Panneer Selvam1,2, Ryan M. De Palma1,2, Joshua J. Oaks1,2, Natalia Oleinik1,2, Yuri K. Peterson2,3, Robert V. Stahelin4,5, Emmanuel Skordalakes6, Suriyan Ponnusamy1,2, Elizabeth Garrett-Mayer2, Charles D. Smith2,3, and Besim Ogretmen1,2,*

1 Department of Biochemistry and Molecular Biology, Medical University of South Carolina, 86 Jonathan Lucas Street, Charleston, SC 29425, USA.
2 Hollings Cancer Center, Medical University of South Carolina, Charleston, SC 29425, USA.
3 Department of Pharmaceutical Sciences, Medical University of South Carolina, Charleston, SC 29425, USA.
4 Department of Biochemistry and Molecular Biology, Indiana University School of Medicine-South Bend, South Bend, IN 46617, USA.
5 Department of Chemistry and Biochemistry and the Mike and Josie Harper Cancer Research Institute, University of Notre Dame, South Bend, IN 46556, USA.
6 Gene Expression and Regulation Program, The Wistar Institute, Philadelphia, PA 19104, USA.

* Corresponding author. E-mail: ogretmen@musc.edu

要約 DNA複製中には、酵素テロメラーゼが、テロメアと呼ばれる染色体末端を維持する。テロメアの短縮は細胞老化を引き起こし、がん細胞では、テロメラーゼ活性の上昇により、無制限に増殖する能力が促進されている場合が多い。触媒サブユニットであるヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)は、リン酸化によって安定化される。われわれは、ヒトおよびマウス線維芽細胞において、スフィンゴシンキナーゼ2(SK2)によって生成されるリゾリン脂質スフィンゴシン1-リン酸(S1P)が、核周辺でhTERTに結合することを見出した。ドッキング予測と変異解析により、結合はS1Pのヒドロキシル基(C′3-OH)とhTERTのAsp684 とのあいだで発生することが明らかになった。SK2の阻害または枯渇、あるいはS1P結合部位の変異によって、培養細胞におけるhTERTの安定性が低下し、老化とテロメア統合性の喪失が促進された。S1Pの結合によって、hTERTと、hTERTにタグを付けて分解させるE3ユビキチンリガーゼであるマコリンリングフィンガータンパク質1(makorin ring finger protein 1:MKRN1)との相互作用が阻害された。マウスLewis肺がん(LLC)細胞は、SK2を欠損したマウスにおいて、野生型マウスよりも小さな腫瘍を形成し、マウスへの移植前にLLC細胞のSK2をノックダウンすると、増殖が抑制された。SK2を薬理学的に阻害すると、マウスの皮下A549肺がん細胞由来異種移植片の増殖が低下し、これは野生型hTERTの発現によって腫瘍増殖が回復したが、S1P結合変異体の発現によっては回復しなかった。このように、われわれのデータから、S1PのhTERTへの結合はリン酸化をアロステリックに模倣し、テロメラーゼの安定性を向上させ、それによってテロメア維持、細胞増殖、腫瘍増殖を促進することが示唆される。

Citation: S. Panneer Selvam, R. M. De Palma, J. J. Oaks, N. Oleinik, Y. K. Peterson, R. V. Stahelin, E. Skordalakes, S. Ponnusamy, E. Garrett-Mayer, C. D. Smith, B. Ogretmen, Binding of the sphingolipid S1P to hTERT stabilizes telomerase at the nuclear periphery by allosterically mimicking protein phosphorylation. Sci. Signal. 8, ra58 (2015).

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