• ホーム
  • TLR4刺激に対するマクロファージ応答の調整におけるパラクリンシグナル伝達の役割を、一細胞サイトカイン分泌解析によって明らかにする

TLR4刺激に対するマクロファージ応答の調整におけるパラクリンシグナル伝達の役割を、一細胞サイトカイン分泌解析によって明らかにする

Analysis of single-cell cytokine secretion reveals a role for paracrine signaling in coordinating macrophage responses to TLR4 stimulation

Research Article

Science Signaling 16 Jun 2015:
Vol. 8, Issue 381, pp. ra59
DOI: 10.1126/scisignal.aaa2155

Qiong Xue1,*,†, Yao Lu1,*, Markus R. Eisele1,2,‡, Endah S. Sulistijo1, Nafeesa Khan1, Rong Fan1,§, and Kathryn Miller-Jensen1,3,§

1 Department of Biomedical Engineering, Yale University, New Haven, CT 06520, USA.
2 Institute for System Dynamics, University of Stuttgart, 70569 Stuttgart, Germany.
3 Department of Molecular, Cellular, and Developmental Biology, Yale University, New Haven, CT 06520, USA.

§ Corresponding author. E-mail: rong.fan@yale.edu (R.F.); kathryn.miller-jensen@yale.edu (K.M.-J.)

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Novartis Institutes for BioMedical Research Inc., Cell & Gene Therapies, Cambridge, MA 02139, USA.

‡ Present address: Department of Molecular Structural Biology, Max-Planck Institute of Biochemistry, 82152 Martinsried, Germany.

要約 マクロファージは、複数のサイトカインを産生するだけでなく、複数のサイトカインに応答し、それによって集団としての最終応答を方向付けている可能性がある。リポ多糖(LPS)によるToll様受容体4(TLR4)の刺激に応答してマクロファージから分泌される炎症性サイトカインのプロファイル形成の際にパラクリンシグナル伝達が果たす役割を決定するために、われわれは、マイクロウェルベースでの単一細胞によるサイトカイン分泌の多重測定と細胞集団によるサイトカイン分泌の解析を組み合わせた。細胞単離によってパラクリンシグナル伝達が消失すると、インターロイキン6(IL-6)やIL-10など、LPSによって刺激されるサイトカインのサブセットがマクロファージ様U937細胞とヒト単球由来マクロファージ(MDM)から分泌される量は減少した。単一細胞データのグラフィカルガウスモデル(GGM)で、パラクリンシグナルの制御ネットワークが明らかになった。これを、集団を対象とし、抗体を介してサイトカインを個別に中和させる実験で検証した。腫瘍壊死因子α(TNF-α)は、GGMネットワークのなかでもっとも影響力のあるサイトカインであった。「分泌量の多い」細胞からなる小規模のサブ集団から分泌されるTNF-αによるパラクリンシグナル伝達は、細胞集団によるIL-6およびIL-10の大量分泌に必要であったが十分ではなかった。単離されたMDMによるIL-10分泌量の相対的な減少は、TNF-α分泌量の増加と関連したことから、炎症性応答の阻害もパラクリンシグナル伝達に依存することが示唆される。われわれの結果は、根底に細胞間の不均一性があるにもかかわらず迅速に自然免疫応答を調整するために集団内の細胞間コミュニケーションが果たす、これまで特徴付けられていなかった役割を明らかにしている。

Citation: Q. Xue, Y. Lu, M. R. Eisele, E. S. Sulistijo, N. Khan, R. Fan, K. Miller-Jensen, Analysis of single-cell cytokine secretion reveals a role for paracrine signaling in coordinating macrophage responses to TLR4 stimulation. Sci. Signal. 8, ra59 (2015).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2015年6月16日号

Editors' Choice

宿主病原体相互作用
エキソソームによる細菌の放出

Research Article

TLR4刺激に対するマクロファージ応答の調整におけるパラクリンシグナル伝達の役割を、一細胞サイトカイン分泌解析によって明らかにする

Toll様受容体4は細胞外小胞中のリン脂質の酸化によって媒介される酸化ストレスを感知する

スフィンゴ脂質S1PのhTERTへの結合はタンパク質リン酸化をアロステリックに模倣することで核周辺においてテロメラーゼを安定化させる

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する