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子宮内膜症
アポトーシスとインフラマソームの調節におけるERβの細胞質内機能

ENDOMETRIOSIS
Cytosolic functions of ERβ in apoptosis and inflammasome regulation

Editor's Choice

Sci. Signal. 17 Nov 2015:
Vol. 8, Issue 403, pp. ec338
DOI: 10.1126/scisignal.aad8685

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

S. J. Han, S. Y. Jung, S.-P. Wu, S. M. Hawkins, M. J. Park, S. Kyo, J. Qin, J. P. Lydon, S. Y. Tsai, M.-J. Tsai, F. J. DeMayo, B. W. O’Malley, Estrogen receptor β modulates apoptosis complexes and the inflammasome to drive the pathogenesis of endometriosis. Cell 163, 960–974 (2015). [PubMed]

子宮内膜症は、子宮外での子宮内膜間質細胞および上皮細胞の異所性増殖によって生じる、多くの場合痛みを伴う疾患である。子宮内膜症はエストロゲンに依存し、子宮内膜症組織ではエストロゲン量が増加している。外科的に誘発した子宮内膜症を解析することによって、Hanらは、エストロゲン受容体β(ERβ)により仲介され、子宮内膜組織の異所性増殖と生存を促進する、エストロゲンの非転写作用を同定した。子宮内膜特異的ERβの過剰発現、薬理学的阻害、あるいは遺伝子ノックアウトおよびレポーターによりERβ活性をモニタリングできるようにした、複数のマウスモデルにおいて、ERβ活性が上昇すると、異所性子宮内膜病変が大きくなった。異所性組織の上皮細胞と間質細胞のいずれにおいても、ERβ活性によって増殖が促進され、アポトーシスが減少した。異所性組織からERβと免疫共沈降したタンパク質の解析により、腫瘍壊死因子–α(TNF-α)を介する外因性アポトーシスシグナル伝達に関連するタンパク質として、カスパーゼ9およびカスパーゼ8、キナーゼASK-1、ASK-1阻害剤STRAPおよび14-3-3などが同定された。カスパーゼ1、NALP3、インターロイキン-1β(IL-1β)などの、インフラマソームに関連するタンパク質も免疫共沈降した。ERβのASK-1、STRAP、14-3-3との相互作用から、ERβは、抑制性のASK-1、STRAP、14-3-3複合体の形成を誘導することによって、TNF-αに応答したASK-1の活性化を制限する可能性があることが示唆された。このモデルと一致して、ERβ過剰発現マウスの異所性病変では、ASK-1リン酸化の活性化量と、アポトソーム形成に関与するタンパク質であるチトクロムcの量が、ERβノックアウトマウスの異所性病変よりも減少していた。ステロイド受容体コアクチベーター1(SRC-1)は、ERβとともに核内で転写を調節する機能を果たすだけでなく、カスパーゼ8と相互作用して、カスパーゼ8の切断と活性化を阻害する。著者らは、SRC-1、ERβ、カスパーゼ8が相互作用して、カスパーゼ8の切断を阻止することを提案した。実際に、ERβ過剰発現マウスの病変においては、対照マウスの病変と比較して、切断されたカスパーゼ8が少なかった。アポトーシス性のカスパーゼ活性は、ERβ活性によって低下したが、活性型カスパーゼ1と、その標的であり細胞の接着と増殖を促進するサイトカインIL-1βは、ERβ活性により増加した。ERβとSRC-1の複合阻害により、子宮内膜症マウスでは、異所性病変の大きさが相乗的に縮小した。これらの結果から、ERβは細胞質で機能し、外因性アポトーシスを減少させる抑制性複合体を形成するとともに、インフラマソームを介するIL-1β産生を促進する、活性化複合体を形成することが示唆される。したがって、子宮内膜症の治療は、このステロイド受容体の転写活性のみを標的とすべきではない。

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2015年11月17日号

Editor's Choice

子宮内膜症
アポトーシスとインフラマソームの調節におけるERβの細胞質内機能

Research Article

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