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あるtRNA合成酵素がMAVSを保護する

A tRNA synthetase protects MAVS

Editor's Choice

Sci. Signal. 15 Nov 2016:
Vol. 9, Issue 454, pp. ec267
DOI: 10.1126/scisignal.aal3898

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

E.-Y. Lee, H.-C. Lee, H.-K. Kim, S. Y. Jang, S.-J. Park, Y.-H. Kim, J. H. Kim, J. Hwang, J.-H. Kim, T.-H. Kim, A. Arif, S.-Y. Kim, Y.-K. Choi, C. Lee, C.-H. Lee, J. U. Jung, P. L. Fox, S. Kim, J.-S. Lee, M. H. Kim, Infection-specific phosphorylation of glutamyl-prolyl tRNA synthetase induces antiviral immunity. Nat. Immunol. 17, 1252–1262 (2016). [PubMed]

要約  アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)ファミリーのメンバーはmRANからタンパク質を適切に合成するために不可欠であるが、翻訳以外の過程にも関与する。そのような非翻訳機能の多くは、細胞質におけるグルタミルプロリルtRNA合成酵素(EPRS)などの8つのtRNA合成酵素で構成されるmulti-tRNA合成酵素複合体(MSC)の会合に関連する。気管支上皮細胞のRNA配列決定解析によって、Leeらは、EPRSのmRNAとタンパク質の存在量がインフルエンザウイルスPR8株の感染に応答して増加することを見出した。ヒトおよびマウスのマクロファージと細胞株を用いた実験では、EPRS量の増加が、細胞質ウイルスRNAセンサーRIG-Iには依存するが、抗ウイルス性サイトカインのインターフェロンβ(IFN-β)には依存しないことが示された。これらの細胞でEPRSをノックダウンさせると、ウイルス複製が増加し、IFN-βと抗ウイルス性サイトカインのインターロイキン6(IL-6)の産生が減少した。野生型感染マウスと比べると、PR8株に感染したヘテロ接合性Eprs+/–マウスでは、抗ウイルス性サイトカイン量が減少し、ウイルス量が増加していた。そのうえ、Eprs+/–マウスでは水疱性口内炎ウイルス(VSV)の感染に応答した生存の減少もみられた。ウェスタンブロット解析法と免疫共沈降法では、マクロファージ細胞株にウイルスを感染させると、EPRSがリン酸化され、MSCから遊離することが示された。さらに、ウイルス感染に応答して、MSCから遊離した状態のEPRSは、RIG-Iと結合して抗ウイルス反応を媒介するミトコンドリア外膜タンパク質MAVSのユビキチン化と分解と以前に関連づけられているタンパク質PCBP2と相互作用した。このEPRSとPCBP2の間の相互作用にEPRSの触媒活性は必要なかった。さらなる実験で、EPRSは、PCBP2に媒介されるユビキチン化と分解からMAVSを保護し、抗ウイルス反応を促進することが示された。まとめると、今回のデータは、tRNA合成酵素EPRSがタンパク質翻訳に関連する機構ではなくタンパク質相互作用機構を介してウイルス感染に対する抗ウイルス反応を促進していることを示している。

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