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腸細胞が病原体を一掃して除去する

Intestinal cells purge to eliminate pathogens

Editor's Choice

Sci. Signal. 20 Dec 2016:
Vol. 9, Issue 459, pp. ec298
DOI: 10.1126/scisignal.aam6089

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

K.-Z. Lee, M. Lestradet, C. Socha, S. Schirmeier, A. Schmitz, C. Spenlé, O. Lefebvre, C. Keime, W. M. Yamba, R. Bou Aoun, S. Liegeois, Y. Schwab, P. Simon-Assmann, F. Dalle, D. Ferrandon, Enterocyte purge and rapid recovery is a resilience reaction of the gut epithelium to pore-forming toxin attack. Cell Host Microbe 20, 716–730 (2016). [PubMed]

A. Bonfini, N. Buchon, Pore-forming toxins trigger the purge. Cell Host Microbe 20, 693–694 (2016). [PubMed]

要約  腸幹細胞(ISCs)は増殖し、病原体により損傷を受けた腸上皮細胞を補充する。Leeらは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)が昆虫病原体Serratia marcescens Db11(SmDb11)を摂取すると、摂取翌日にはISCの増殖が強力に誘導されるが、摂取後の数時間以内はISCの増殖が誘導されないことを見出した。その代わりに、SmDb11の摂取はその数時間以内の腸上皮の菲薄化を引き起こしたが、24時間以内に正常な厚さを取り戻した。上皮の菲薄化は、上皮細胞内の大型の膜胞の出現、脂質滴の蓄積、およびミトコンドリアの腫大と、その後の腸内腔への細胞質の排出を特徴とした。排出は細胞死を誘導せず、腸のバリア機能を損なうことはなかった。細孔形成毒素ヘモリシンを欠損するS.marcescens株(Sm21C4)を感染させたとき、上皮の菲薄化は引き起こされなかった。さらにSm21C4に感染したハエはSmDb11に感染したハエに比べ、生存率が低く、感染の後期におけるISC増殖率が高かった。このことは、細胞質の排出が病原体誘導性の上皮損傷を抑制することを示している。Pseudomonas entomophilaも上皮菲薄化を引き起こすために、その細孔形成毒素であるmonalysin(モナライシン)を必要とした。保存されているサイクリンCycJを欠損するハエにSmDb11を給餌したとき、腸上皮は菲薄化したが、その本来の厚さを回復しなかった。CycJ変異ハエは感染後の生存率が低下した。野生型のハエへのSmDb11の給餌は、短い分泌型タンパク質をコードすることが予測される、特徴が明らかでない数種の遺伝子の転写を誘導したが、CycJ変異体ではそれは認められなかった。また、Sm21C4の給餌はこの転写を誘導しなかった。ただし、CycJ変異ハエにおいてこれら転写誘導される遺伝子2つのいずれかを発現させることで、腸管菲薄化からの回復が改善した。細孔形成毒素を産生する細菌による感染はミツバチ、マウスおよび培養ヒト腸上皮細胞においても腸上皮の菲薄化を引き起こした。感染したヒト細胞において細胞質の排出が検出された。これらの結果から、腸上皮細胞は細菌細胞、細菌性毒素、および損傷した細胞成分(これらはすべて組織損傷に寄与する)を排出することで細孔形成毒素に反応するという、保存されている機構が特定された(Bonfini and Buchonも参照)。

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2016年12月20日号

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