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飢餓の後のごちそうに向けて肝臓を刺激する

Priming the liver for a feast after famine

Editor's Choice

Sci. Signal. 27 Nov 2018:
Vol. 11, Issue 558, eaaw1457
DOI: 10.1126/scisignal.aaw1457

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

C. Brandt, H. Nolte, S. Henschke, L. Engström Ruud, M. Awazawa, D. A. Morgan, P. Gabel, H.-G.Sprenger, M. E. Hess, S. Günther, T. Langer, K. Rahmouni, H. Fenselau, M. Krüger, J. C. Brüning, Food perception primes hepatic ER homeostasis via melanocortin-dependent control of mTOR activation. Cell 175, 1321-1335.e20 (2018). Google Scholar

食物知覚は、栄養素の流入に向けて肝臓の準備をする、視床下部から肝臓への経路を活性化する。

要約

食物を見ること、匂いを嗅ぐこと、味わうことによって、食物摂取のために身体を準備する生理的変化が十分に引き起こされる。肝臓は、摂餌時の栄養素の流入とタンパク質合成の増強に適応する必要があると考えられることから、Brandtらは、食物の知覚が肝臓に及ぼす影響を検討した。著者らは絶食マウスを用い、餌の摂取、見ることと匂いを嗅ぐことはできるが食べることができない餌の提示、あるいは人工餌の提示を行った。絶食マウスへの餌の提示により、餌を食べることが許されていたかどうかとは関係なく、小胞体(ER)ストレス経路の重要なエフェクターを生成するスプライスされたXbp1と、タンパク質シャペロニングまたはプロセシングに関与する因子をコードするXbp1標的遺伝子の、肝臓における発現が増加した。さらに肝臓では、栄養素の利用可能性に応じて細胞の成長と増殖を誘発するキナーゼである、機構的ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)を介するシグナル伝達の増加と、タンパク質合成の際のERの拡大に必要な脂質である、ホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの合成増加が認められた。餌を与えられなかった絶食マウス、あるいは人工食物を提示された絶食マウスでは、これらの変化が認められなかった。視床下部のプロオピオメラノコルチン(POMC)ニューロンは、摂餌によって活性化され、食欲を抑制する。摂餌と同様に、入手できない餌の提示によってもこれらのニューロンが活性化され、Ca2+シグナル伝達とFos 発現の増加が認められた。POMCニューロンの刺激により、肝臓におけるXbp1 のスプライシングとmTORC1活性が増加した。これらの作用には、メラノコルチン4受容体(MC4R)、POMCニューロンによる肝臓交感神経活性の刺激、肝臓交感神経からのノルエピネフリン放出、肝細胞のα1アドレナリン受容体が必要であった。このように、食物知覚は、栄養素の流入に向けて肝臓の準備をする、視床下部から肝臓への経路を活性化する。

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2018年11月27日号

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Research Article

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