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海馬のmGluR1依存性長期増強にはNAADPに媒介される酸性貯蔵Ca2+シグナル伝達が必要である

Hippocampal mGluR1-dependent long-term potentiation requires NAADP-mediated acidic store Ca2+ signaling

Research Article

Sci. Signal. 27 Nov 2018:
Vol. 11, Issue 558, eaat9093
DOI: 10.1126/scisignal.aat9093

William J. Foster*, Henry B. C. Taylor, Zahid Padamsey, Alexander F. Jeans, Antony Galione*, and Nigel J. Emptage*

Department of Pharmacology, University of Oxford, Mansfield Road, Oxford OX1 3QT, UK.

* Corresponding author. Email: william.foster@pharm.ox.ac.uk (W.J.F.); nigel.emptage@pharm.ox.ac.uk (N.J.E.); antony.galione@pharm.ox.ac.uk (A.G.)

要約

細胞内で二次メッセンジャーであるニコチン酸アデニンジヌクオチドリン酸(NAADP)が増加したときにそれに応答して放出されるCa2+は、エンドソームやリソソームなどの酸性小器官に貯蔵されている。ニューロンでは、NAADPとCa2+シグナル伝達はシナプスの可塑性、すなわちニューロンの機能と記憶の形成に重要な、シナプス強度と神経伝達の活動依存性の長期増強(LTP)[あるいは長期抑圧(LTD)]過程に寄与する。われわれは、マウス海馬ニューロンにおける酸性貯蔵Ca2+シグナル伝達の機能と調節機構を調べた。そして、代謝型グルタミン酸受容体1(mGluR1)が、酸性貯蔵からのCa2+放出を誘発するNAADPシグナル伝達と共役することを見出した。この共役は次に、おそらくプロテインホスファターゼ2Aの活性化を介し、SK型K+チャネルを一時的に阻害することによって、Ca2+に媒介されるmGluR1依存性LTPを引き起こした。エンドリソソーム特異的なイオンチャネルである二孔チャネル(TPC)を遺伝学的に除去すると、可塑性の方向性がLTPからLTDへと切り替わったことから、特異的受容体と貯蔵との共役の重要性が示され、mGluR1がシナプス増強とシナプス抑圧の両方を引き起こすことを可能にする仕組みについての機構的な洞察が得られた。

Citation: W.J. Foster, H. B. C. Taylor, Z. Padamsey, A. F. Jeans, A. Galione, N.J. Emptage, Hippocampal mGluR1-dependent long-term potentiation requires NAADP-mediated acidic store Ca2+ signaling. Sci. Signal. 11, eaat9093 (2018).

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