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EGFRシグナル伝達が感染を動かす

EGFR signaling moves infection

Editors' Choice

Sci. Signal. 12 Feb 2019:
Vol. 12, Issue 568, eaau2214
DOI: 10.1126/scisignal.aau2214

Erin R. Williams

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

C. Beerli, A. Yakimovich, S. Kilcher, G. V. Reynoso, G. Fläschner, D. J. Müller, H. D. Hickman, J. Mercer, Vaccinia virus hijacks EGFR signalling to enhance virus spread through rapid and directed infected cell motility. Nat. Microbiol. 4, 216-225 (2019).
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ウイルスEGFホモログは、ワクシニアウイルスに感染された細胞の遊走を増加させ、ウイルスの伝播を促進する。

要約

ウイルスによってコードされるエフェクタータンパク質は、感染細胞の運動を増進してウイルス伝播を促進することができる。ワクシニアウイルス(VACV)感染細胞の遊走を促進する因子を同定するために、Beerliらは、マウスにおける細胞増殖とウイルス複製に必要な上皮成長因子(EGF)のウイルスホモログを欠損したウイルスを作製した。ウイルス増殖因子(VGF)の欠損により、ウイルスのプラークサイズが縮小し、感染細胞の運動が低下したが、細胞外のエンベロープウイルス粒子または細胞膜の細胞結合ウイルス粒子の産生は低下しなかった。VGF欠損VACVに感染された細胞では、EGFRとその下流の標的キナーゼであるRaf、MEK、ERKおよびFAKがリン酸化されなかった。EGFRとその標的に対する阻害剤によっても、野生型VACVのプラークサイズが縮小し、感染細胞の運動が低下した。EGFR刺激と細胞遊走には、感染細胞からのメタロプロテアーゼADAM10によるVGF放出が必要であった。マウスの耳において、VGF欠損VACVの感染に起因する病変は、VGFを有するVACVの感染に起因する病変に比べて小さかった。総合すると、これらの結果により、VACVエフェクタータンパク質がEGFRシグナル伝達を刺激し、細胞遊走を進め、ウイルス伝播を促進する仕組みに関する新たな分子的詳細が明らかになっている。

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2019年2月12日号

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