• ホーム
  • AAGに依存したアルキル化誘導性網膜変性には炎症、壊死およびキナーゼRIP3が主要メディエーターである

AAGに依存したアルキル化誘導性網膜変性には炎症、壊死およびキナーゼRIP3が主要メディエーターである

Inflammation, necrosis, and the kinase RIP3 are key mediators of AAG-dependent alkylation-induced retinal degeneration

Research Article

Sci. Signal. 12 Feb 2019:
Vol. 12, Issue 568, eaau9216
DOI: 10.1126/scisignal.aau9216

Mariacarmela Allocca1,2, Joshua J. Corrigan1,2, Aprotim Mazumder1,2, Kimberly R. Fake1,2, and Leona D. Samson1,2,3,4,*

1 Department of Biological Engineering, Massachusetts Institute of Technology, 77 Massachusetts Avenue, Cambridge, MA 02139, USA.
2 Center for Environmental Health Sciences, Massachusetts Institute of Technology, 77 Massachusetts Avenue, Cambridge, MA 02139, USA.
3 Department of Biology, Massachusetts Institute of Technology, 77 Massachusetts Avenue, Cambridge, MA 02139, USA.
4 David H. Koch Institute for Integrative Cancer Research, Massachusetts Institute of Technology, 77 Massachusetts Avenue, Cambridge, MA 02139, USA.

* Corresponding author. Email: lsamson@mit.edu

要約

DNAアルキル化剤はがん細胞を殺傷するために広く使用されているが、それらが引き起こす塩基除去修復(BER)経路は、網膜変性(RD)のような組織損傷を引き起こす毒性中間体も生成する可能性がある。プログラム細胞死の1プロセスであるアポトーシスは、RDにおけるこのアルキル化誘導性光受容体(PR)細胞死の主要機構であると想定されている。本稿でわれわれは、アルキル化誘導性RDにおける壊死(もう1つのプログラム細胞死プロセス)および炎症の関与を検討した。メチル化剤に曝露された雄マウスでは、PR細胞列数の減少、活動性グリオーシス、サイトカインの誘導、および網膜のマクロファージ浸潤が認められた。死につつあるPRは,壊死の形状、8-ヒドロキシグアノシン(酸化的損傷マーカー)の存在量の増加、ならびに壊死関連遺伝子であるRip1およびRip3の過剰発現が認められた。BER、細胞死および炎症を媒介するPARP1の活性はPR細胞において増大し、これはPR核からの炎症性ケモカインHMGB1の放出を伴っていた。抗炎症性サイトカインIL-10を欠損するマウスは重症度の高いRDを呈した一方で、RIP3(別名RIPK3)の欠損は部分的な保護を付与していた。雌マウスはアルキル化誘導性RDから部分的に保護されており、雄に比べて低レベルの壊死および炎症を示していた。BERを引き起こすDNAグリコシラーゼであるアルキルアデニンDNAグリコシラーゼ(AAG)を欠損するマウスのPRは、アルキル化誘導性の壊死または炎症を示さなかった。われわれの所見は、アルキル化されたDNA塩基においてAAGにより引き起こされるBERは主に、当初の損傷を増幅する壊死を誘発して炎症反応を活性化することで雌雄に異なるRDを誘導することを示し、これにより、化学療法のこの副作用を抑制するための新たな標的候補が明らかとなった。

Citation: M. Allocca, J. J. Corrigan, A. Mazumder, K. R. Fake, L. D. Samson, Inflammation, necrosis,and the kinase RIP3 are key mediators of AAG-dependent alkylation-induced retinal degeneration. Sci. Signal. 12, eaau9216 (2019).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2019年2月12日号

Editors' Choice

EGFRシグナル伝達が感染を動かす

Research Article

ミトコンドリア活性酸素種はNEMOのジスルフィド結合を介して炎症性シグナル伝達を可能にする

AAGに依存したアルキル化誘導性網膜変性には炎症、壊死およびキナーゼRIP3が主要メディエーターである

CARインタラクトームとシグナロソームを明らかにする免疫プロテオミクス法

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する