• ホーム
  • 新たなつながり:MCUとともに有糸分裂を進める

新たなつながり:MCUとともに有糸分裂を進める

New connections: Moving through mitosis with the MCU

Editor's Choice

Sci. Signal. 30 Apr 2019:
Vol. 12, Issue 579, eaax8314
DOI: 10.1126/scisignal.aax8314

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

H. Zhao, T. Li, K. Wang, F. Zhao, J. Chen, G. Xu, J. Zhao, T. Li, L. Chen, L. Li, Q. Xia, T. Zhou, H.-Y. Li, A.-L. Li, T.Finkel, X.-M. Zhang, X. Pan, AMPK-mediated activation of MCU stimulates mitochondrial Ca2+ entry to promote mitotic progression. Nat. Cell Biol. 21, 476-486 (2019). Google Scholar

O. M. Koval, E. K. Nguyen, V. Santhana, T. P. Fidler, S. C. Sebag, T. P. Rasmussen, D. J. Mittauer, S. Strack, P. C.Goswami, E. D. Abel, I. M. Grumbach, Loss of MCU prevents mitochondrial fusion in G1-S phase and blocks cell cycle progression and proliferation. Sci. Signal. 12, eaav1439 (2019). Abstract/FREE Full TextGoogle Scholar

MCUの働きにより増殖中の細胞は細胞周期の進行に必要なATPを確実に産生できる。

要約

細胞増殖はエネルギーを要する過程である。ミトコンドリアのCa2+取込み量は細胞周期中に増加し、その増加はATP産生量の増加と相関する。独立した2報の論文で、有糸分裂中のミトコンドリアCa2+単輸送体(MCU)の役割が記述されている。1報目の論文では、Zhaoらが、有糸分裂中の細胞においてMCUがATP量の低下と同時に発生するミトコンドリアのCa2+トランジェントを媒介することを明らかにした。低エネルギー状態によりキナーゼAMPKが活性化されるが、著者らは、ATP量の低下によってAMPKのミトコンドリアへの移行が誘導され、ミトコンドリア内でAMPKがMCUのSer57をリン酸化することを明らかにした。有糸分裂の進行には、MCUに媒介されるミトコンドリアのCa2+トランジェントと、AMPKによるMCUのリン酸化の両方が必要であった。細胞周期中には、ミトコンドリアのCa2+取込みが促進されるだけでなく、ミトコンドリアの融合も増加する。Science Signalingの今月号に掲載された論文では、Kovalらが、正常な非形質転換細胞において細胞質とミトコンドリアのCa2+濃度を平衡化させるにはMCUが必要であることを明らかにした。MCUが不在の場合、細胞質のCa2+濃度が過剰になり、それによりキナーゼCaMKIIの活性化が引き起こされ、活性型CaMKIIによってミトコンドリア分裂因子Drp1がリン酸化され、活性化された。ミトコンドリア分裂が増加するとATP産生量が減少し、細胞増殖が抑制された。これによって、初代培養細胞では増殖因子である血小板由来増殖因子(PDGF)への応答が減弱され、マウスでは創傷治癒が抑制された。このように、ZhaoらとKovalらの結果から、MCUによって細胞周期中のエネルギー需要にマッチしたATP産生が可能になることが示された。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2019年4月30日号

Editor's Choice

新たなつながり:MCUとともに有糸分裂を進める

Research Article

MCUが欠損するとG1-S期のミトコンドリア融合が妨げられ、細胞周期進行と増殖が阻害される

CD13はIQGAP1-ARF6-EFA6複合体を細胞膜に連結し、ARF6活性化、β1インテグリンリサイクリングおよび細胞移動を促進する。

NF-κBシグナル伝達のダイナミクスは用量感知性の自己調節ループにより制御される

最新のEditor's Choice記事

2019年10月1日号

ストレス、年齢、そしてがん

2019年9月24日号

オルガネラは脂質動員のために接触する

2019年9月17日号

低温から脱する

2019年9月10日号

PIEZO1が炎症を促進する

2019年9月3日号

Gタンパク質活性化を可視化する