• ホーム
  • NF-κBシグナル伝達のダイナミクスは用量感知性の自己調節ループにより制御される

NF-κBシグナル伝達のダイナミクスは用量感知性の自己調節ループにより制御される

NF-κB signaling dynamics is controlled by a dose-sensing autoregulatory loop

Research Article

Sci. Signal. 30 Apr 2019:
Vol. 12, Issue 579, eaau3568
DOI: 10.1126/scisignal.aau3568

Mialy M. DeFelice1,*, Helen R. Clark2,3,*, Jacob J. Hughey1,*, Inbal Maayan1, Takamasa Kudo4, Miriam V. Gutschow1,†, Markus W. Covert1,‡, and Sergi Regot2,3,5,‡

1 Department of Bioengineering, Stanford University, Stanford, CA 94305, USA.
2 Department of Molecular Biology and Genetics, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD 21205, USA.
3 Biochemistry, Cellular, and Molecular Biology Graduate Program, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD 21205, USA.
4 Department of Chemical and Systems Biology, Stanford University, Stanford, CA 94305, USA.
5 Department of Oncology, Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD 21205, USA.

‡ Corresponding author. Email: mcovert@stanford.edu (M.W.C.); sregot@jhmi.edu (S.R.)

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Allen Institute for Immunology, Seattle, WA 98109, USA.

要約

ここ十年の間に、振動性、一過性、持続性など多様な時間パターンで活性化されるシグナル伝達タンパク質が、別々の遺伝子発現パターンまたは細胞運命を生じえることが、複数の研究から明らかになっている。しかし、適切な刺激および用量依存性の動態を保証する分子事象が理解されている場合は多くなく、検討も難しい。本稿でわれわれは単一細胞解析を用いて、自然免疫シグナル伝達ネットワークにおいて刺激および用量コード化パターンの根底にある機構を検討した。その結果、Toll様受容体(TLR)およびインターロイキン-1受容体(IL-1R)のシグナル伝達のダイナミクスは、用量依存性の自己抑制ループに依っており、それにより細胞はさらなる刺激への抵抗性を獲得することを見出した。誘導性遺伝子発現および光遺伝学を用いて多様なレベルでネットワークを撹乱した結果、自然免疫応答におけるシグナルフローの制限を担う用量感知性のノードとして、IL-1R関連キナーゼ1(IRAK1)を同定した。IRAK1のキナーゼ活性はシグナル伝播には不要であったものの、これは転写因子NF-κBの核細胞質間の往復の阻害に重要な役割を担っていた。このように、トポロジカルな観点からは「不要」かもしれないタンパク質の活性であっても、外部環境に対する動的応答を形成する上では不可欠かもしれない。

Citation: M. M. DeFelice, H. R. Clark, J. J. Hughey, I. Maayan, T. Kudo, M. V. Gutschow, M. W. Covert, S. Regot, NF-κB signaling dynamics is controlled by a dose-sensing autoregulatory loop. Sci. Signal. 12, eaau3568 (2019).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2019年4月30日号

Editor's Choice

新たなつながり:MCUとともに有糸分裂を進める

Research Article

MCUが欠損するとG1-S期のミトコンドリア融合が妨げられ、細胞周期進行と増殖が阻害される

CD13はIQGAP1-ARF6-EFA6複合体を細胞膜に連結し、ARF6活性化、β1インテグリンリサイクリングおよび細胞移動を促進する。

NF-κBシグナル伝達のダイナミクスは用量感知性の自己調節ループにより制御される

最新のResearch Article記事

2024年4月9日号

前立腺がんにおいて脂質合成を阻害するとDNA損傷が誘導され、PARP阻害がもたらす細胞死が増加する

A型インフルエンザウイルス感染中にMiz1がI型インターフェロンの産生を抑制してウイルス除去を制限する

2024年4月2日号

フェリチンの重サブユニットは肝星細胞でICAM-1を介してNLRP3インフラマソームを刺激し、肝臓の炎症を促進する

2024年3月26日号

ミクログリア内のグルコシルセラミドの蓄積がマウスにおいてSTING依存性の神経炎症と神経変性を引き起こす

2024年3月19日号

運動によって誘導されるBDNFは運動後回復期に骨格筋脂質代謝のPPARδ依存性リプログラミングを促進する