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新たなつながり:HIPK2は透明な結晶になる

New connections: HIPK2 becomes crystal clear

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Sci. Signal. 30 Jul 2019:
Vol. 12, Issue 592, eaay8936
DOI: 10.1126/scisignal.aay8936

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

L. Cao, G. Yang, S. Gao, C. Jing, R. R. Montgomery, Y. Yin, P. Wang, E. Fikrig, F. You, HIPK2 is necessary for type I interferon-mediated antiviral immunity. Sci. Signal. 12, eaau4604 (2019).
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C. Agnew, L. Liu, S. Liu, W. Xu, L. You, W. Yeung, N. Kannan, D. Jablons, N. Jura, The crystal structure of the protein kinase HIPK2 reveals a unique architecture of its CMGC-insert region. J. Biol. Chem.jbc.RA119.009725 (2019).
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HIPK2の結晶構造を解析すれば、この多機能キナーゼを標的とする治療法につながる可能性がある。

要約

ホメオドメイン相互作用プロテインキナーゼ2(HIPK2)は、CMGCスーパーファミリーに属する二重特異性のセリンスレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼからなるファミリーのメンバーである。HIPKはホメオドメイン転写因子の転写制御因子および転写共役制御因子として機能する。HIPK2はDNA損傷応答の一環としてp53をリン酸化し、p53に依存した遺伝子発現とアポトーシスを可能にする。その一方で、HIPK2は他の細胞応答にも関連付けられている。アーカイブでCaoらは、HIPK2がウイルス感染へに対する抵抗性とI型インターフェロン(IFN)の産生に必要であることをマウスで示した。この抗ウイルス応答には、キナーゼHIPK2が核へと移行し、HIPK2の自己抑制ドメインが切断される必要があった。アーカイブでBestとPoniaが考察しているとおり、この研究は、HIPK2を治療標的とすれば、自己免疫疾患におけるI型IFNの産生を抑制できる可能性があることを示唆している。また、HIPK2は多様ながんで過剰発現されており、慢性線維症に関連付けられている。そこでAgnewらは、いくつかのがんの治療薬として臨床試験中のカゼインキナーゼ2α(CK2α)阻害薬CX-4945と結合したHIPK2のキナーゼドメインの結晶構造を解析した。活性型立体配座で結晶化されたHIPK2キナーゼドメインは、活性ループのリン酸化によって安定化されていた。著者らはさらに、CX-4945がHIPK2の活性部位にどのように関与しているのかを特徴付けたほか、HIPK2と、DYRKファミリーのHIPK2に関連する二重特異性キナーゼとの構造上の類似点と相違点についても明らかにした。HIPK2の構造を解析することで、がん、線維症、もしかすると自己免疫の治療にも使用できる可能性のある特異的な阻害薬の開発が促進されるだろう。

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2019年7月30日号

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