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Gタンパク質活性化を可視化する
Visualizing G protein activation
Sci. Signal. 03 Sep 2019:
Vol. 12, Issue 597, eaaz3175
DOI: 10.1126/scisignal.aaz3175
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
Y. Gao, H. Hu, S. Ramachandran, J. W. Erickson, R. A. Cerione, G. Skiniotis, Structures of the rhodopsin-transducin complex: Insights into G-protein activation. Mol. Cell 75, 781-790.e3 (2019).
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GPCRロドプシンがGタンパク質トランスデューシンを活性化する機構に関する知見が、構造から得られている。
要約
Gタンパク質共役受容体(GPCR)のロドプシンは、網膜の桿体外節膜に存在し、リガンド11-cis レチナールに共有結合したアポタンパク質オプシンにより構成される。光への曝露によって、リガンドがall-transレチナールに変換され、受容体が活性化される。その結果、ロドプシンはGタンパク質トランスデューシン(Gt)に結合し、Gタンパク質α-サブユニット(Gαt)でのGDP-GTP交換を誘導すると、GαtはGβγ二量体から分離し、下流のシグナル伝達を開始する。Gaoらは、ウシ桿体外節膜からロドプシンを単離し、Gタンパク質に結合して構造決定を助けるナノボディNb35*の存在下または非存在下で、Gβ1γ1および改変α-サブユニットeGαtと混合した。これらの複合体は、ヌクレオチド交換とGタンパク質活性化を起こす能力を示した。著者らは続いて、単粒子クライオEMを用いて、Nb35*結合およびNb35*フリーの複合体の構造を解析した。これらの構造から、受容体とGタンパク質の界面の広がりや、活性化ロドプシンが、他のGタンパク質α-サブユニットよりGDPに高い親和性を示すGαtでヌクレオチド交換を誘導するために必要な接触が、明らかになった。ナノボディ結合構造とナノボディフリー構造の比較において、ナノボディが、受容体活性化によるα-サブユニットとβγ二量体の分離を妨げる可能性があることが示唆され、この作用については、他のナノボディ結合Gタンパク質の構造を解釈する際に留意する必要があると考えられる。最後に、これらの構造から、Gβサブユニットが、Gαtのヘリックスドメインの安定化とヌクレオチド交換の促進に果たす、これまで認識されていなかった役割が明らかになった。総合すると、以上の結果から、ロドプシンによるGタンパク質活性化に関するわれわれの理解が進み、Gβγがα-サブユニットでの受容体誘導性のヌクレオチド交換の促進に関与することが示唆される。