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ケモカインXCL1およびその受容体XCR1に対するケモカイン-GPCR特異性の構造-機能ガイドモデリング
Structure-function guided modeling of chemokine-GPCR specificity for the chemokine XCL1 and its receptor XCR1
Sci. Signal. 03 Sep 2019:
Vol. 12, Issue 597, eaat4128
DOI: 10.1126/scisignal.aat4128
Jamie C. Fox1, Monica A. Thomas1, Acacia F. Dishman1, Olav Larsen2, Takashi Nakayama3, Osamu Yoshie4, Mette Marie Rosenkilde2, and Brian F. Volkman1,*
1 Department of Biochemistry, Medical College of Wisconsin, Milwaukee, WI 53226, USA.
2 Department of Neuroscience and Pharmacology, University of Copenhagen, Copenhagen DK-2200, Denmark.
3 Divison of Chemotherapy, Kindai University Faculty of Pharmacy, Higashi-osaka 577, Japan.
4 The Health and Kampo Institute, 1-11-10 Murasakiyama, Sendai, Miyagi 982-3205, Japan.
* Corresponding author. Email: bvolkman@mcw.edu
要約
ケモカインは、2段階の2部位機構を介してGタンパク質共役受容体(GPCR)と相互作用し、この相互作用により、さまざまな恒常性および免疫応答機構を仲介する。受容体がケモカインを最初に認識すると、ケモカインのアミノ末端がGPCRのオルソステリックポケットに挿入され、細胞内シグナル伝達の引き金となる立体構造変化を引き起こす。ケモカインのアミノ末端のアミノ酸組成と長さが、オルソステリックポケットの大きさとアミノ酸組成を相補し、GPCRの活性化に重要であることを示唆するかなりの数の構造的および機能的証拠がある。しかしながら、ネイティブなケモカイン受容体複合体の構造はほとんど解かれていない。ここで、われわれは、構造-機能データとロゼッタモデリングを組み合わせたハイブリッド法を用いて、ケモカイン-GPCR境界面内の鍵となる接触点を記述した。ケモカインXCL1のアミノ末端の最も端の残基(Val1、Gly2、Ser3、およびGlu4)は、受容体XCR1への結合エネルギーの大部分を占め、ジスルフィド結合を形成する残基Cys11に近い残基はXCR1の活性化を調節することがわかった。XCL1のアミノ末端の変化はXCR1の活性化を変化させ、これはイノシトール三リン酸の蓄積、細胞内カルシウム放出、および指向性細胞移動を評価することにより明らかにされた。XCL1-XCR1相互作用の数理解析により、XCL1のGlu4とXCR1のTyr117およびArg273を含む機能的接触が明らかになった。その後のTyr117とArg273の変異導入により、XCL1によるXCR1の結合と活性化が減少した。これらの結果は、ケモカイン-GPCR相互作用の研究における、生物学的データと相同性モデリングを用いたハイブリッド法の有用性を示している。
Citation: J. C. Fox, M. A. Thomas, A. F. Dishman, O. Larsen, T. Nakayama, O. Yoshie, M. M. Rosenkilde, B. F. Volkman, Structure-function guided modeling of chemokine-GPCR specificity for the chemokine XCL1 and its receptor XCR1. Sci. Signal. 12, eaat4128 (2019).