外傷が回復力を高める

Trauma promotes resilience

Editor's Choice

Sci. Signal. 26 Nov 2019:
Vol. 12, Issue 609, eaba2954
DOI: 10.1126/scisignal.aba2954

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

H. Weavers, W. Wood, P. Martin, Injury activates a dynamic cytoprotective network to confer stress resilience and drive repair. Curr. Biol. 29, 3851-3862.e4 (2019). Google Scholar

P. Hiebert, S. Werner, Tissue repair: Guarding against friendly fire. Curr. Biol. 29, R1191-R1193 (2019). Google Scholar

創傷は細胞保護機構を誘導し、酸化的損傷に対する細胞の抵抗力を高める。

要約

炎症時に産生される活性酸素種(ROS)は、病原体を殺傷するが、感染から保護しているまさにその細胞を損傷することもある。創傷は局所的なCa2+波とROS産生を急速に誘導し、これらが免疫細胞を誘引し、免疫細胞が炎症反応の一環としてさらなるROSを産生する。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)胚の表皮創傷治癒のモデルを用いて、Weavers らは、創傷が創傷部でROSバーストを誘発し、創縁の細胞において酸化的DNA損傷を引き起こすことを見出した。免疫細胞(血球)の遺伝的除去によって、創傷部のROS産生が低下し、血球を除去またはCa2+波を遮断すると、創閉鎖が早まった。創傷を取り囲む細胞は、創傷のない上皮の表皮細胞と比べて、紫外(UV)線によって誘導される損傷およびアポトーシスを受けにくかった。この保護効果は、創傷からの距離とともに低下し、経時的に衰えたが、抗酸化剤応答マスター転写制御因子Nrf2の活性化と、増殖停止およびDNA損傷誘導性タンパク質Gadd45の転写活性化によるものであった。Nrf2またはGadd45をノックダウンすると修復が遅延し、いずれかを異所性発現させると、創傷のない上皮がUV誘導性の損傷およびアポトーシスに抵抗性を示すようになった。Ca2+シグナル伝達とc-Jun N末端キナーゼ(JNK)シグナル伝達が、創傷に応答したNrf2およびGadd45の誘導に必要とされ、Nrf2とGadd45が続いて、抑制されなければアポトーシスを誘導する可能性があるJNKシグナル伝達を制限した。これらの結果からは、創傷部の細胞がROSの損傷作用から保護される仕組みが明らかにされているだけでなく、手術前の組織の前処置によって治癒を改善するための、見込みある戦略が提案されている(HiebertとWerner参照)。

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