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新たなつながり:Ca2+シグナル伝達の流動と距離

New connections: Flux and distance in Ca2+ signaling

Editor's Choice

Sci. Signal. 14 Jul 2020:
Vol. 13, Issue 640, eabd7661
DOI: 10.1126/scisignal.abd7661

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

C. Cardenas, A. Lovy, E. Silva-Pavez, F. Urra, C. Mizzoni, U. Ahumada-Castro, G. Bustos, F. Jaňa, P. Cruz, P.Farias, E. Mendoza, H. Huerta, P. Murgas, M. Hunter, M. Rios, O. Cerda, I. Georgakoudi, A. Zakarian, J. Molgo, J. K. Foskett, Cancer cells with defective oxidative phosphorylation require endoplasmic reticulum-to-mitochondria Ca2+ transfer for survival. Sci. Signal. 13, eaay1212 (2020). Google Scholar

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ERからミトコンドリアへのCa2+流動を理解することによって、さまざまな疾患におけるミトコンドリア機能不全を是正する方法が得られる可能性がある。

要約

小胞体(ER)からミトコンドリアへのCa2+の流動は、ミトコンドリアの生体エネルギー特性と機能を調節し、これら2組のオルガネラ間の距離に影響を受ける。Science Signalingに掲載された一連の論文において、ERからミトコンドリアへのCa2+流動が、ミトコンドリア機能に影響を及ぼし、ERシャペロンまたは疾患に影響を受ける仕組みが検討されている。正常細胞では、ERからミトコンドリアへの低レベルの恒常的Ca2+流動が、酸化的リン酸化を介するATP産生と、したがって細胞増殖を支えている。Science Signaling今週号で、Cardenasらは、酸化的リン酸化を欠損したがん細胞において、このオルガネラ間Ca2+流動が、代替代謝経路を介して重要な代謝物の生成を支持するため、生存に不可欠であることを見出した。Archives内の論文では、Angebaultらが、ウォルフラム症候群で発生する機能喪失型変異を模倣する、ERタンパク質WFS1の欠損が、Ca2+センサーNCS1の存在量低下を原因として、ミトコンドリアのCa2+取り込みの低下、ミトコンドリアのERとの接触の減少、ミトコンドリア呼吸の減少に関連することを見出した。患者線維芽細胞をNCS1で再構成すると、ミトコンドリア呼吸とCa2+シグナル伝達のダイナミクスが回復した。Archives内の第3の論文で、Gutiérrezらは、ERシャペロンのカルネキシンが、Ca2+をERに送り込むATPaseであるSERCAを、活性に最適な酸化還元状態で維持することを見出した。カルネキシンがない細胞では、カルネキシンがある細胞と比較して、ミトコンドリアがERに近く、この効果によって、カルネキシン欠損細胞はミトコンドリアへのCa2+流入を部分的にレスキューし、限定的な酸化的リン酸化を行うことができた。Archives内の最後の論文では、Kuoらが、遺伝性の多発性嚢胞腎における機能喪失型変異を模倣する、ERカチオンチャネルPC2の欠損によって、ミトコンドリア融合因子MFN2の存在量が増加するために、ミトコンドリアのERへの係留が増強されることを見出した。ミトコンドリア‐ER会合の増加により、ミトコンドリアのCa2+流入、呼吸、細胞増殖が増大し、これは、多発性嚢胞腎の培養細胞およびマウスモデルにおいて、MFN2の欠損によってレスキューされた。これらの論文は、ERからミトコンドリアへのCa2+流動を調節するシグナル伝達経路を理解することによって、異常な流動またはオルガネラ間距離に起因するミトコンドリア機能不全を特徴とする疾患について、知見と治療標的候補が得られる可能性があることを示している。

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