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エキソソームのスイッチを入れる
Flipping an exosome switch
Sci. Signal. 01 Sep 2020:
Vol. 13, Issue 647, eabe5296
DOI: 10.1126/scisignal.abe5296
Annalisa M. VanHook
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
S.-J. Fan, B. Kroeger, P. P. Marie, E. M. Bridges, J. D. Mason, K. McCormick, C. E. Zois, H. Sheldon, N. Khalid Alham, E. Johnson, M. Ellis, M. I. Stefana, C. C. Mendes, S. M. Wainwright, C. Cunningham, F. C. Hamdy, J. F.Morris, A. L. Harris, C. Wilson, D. C. Goberdhan, Glutamine deprivation alters the origin and function of cancer cell exosomes. EMBO J. 39, e103009 (2020).
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がん細胞では栄養ストレスがエキソソームの生合成と生物学的活性を変化させている
要約
エキソソームはタンパク質、脂質および核酸の細胞間輸送を媒介している。これらはおおむね、後期エンドソーム膜の内向きの出芽によって形成されると考えられ、その結果生じた多胞体(MVB)が細胞膜と融合して、エキソソームが細胞外に放出される。Fanらは、ハエとヒトの細胞にはRab7陽性後期エンドソームとRab11a陽性リサイクリングエンドソームの両方に由来するMVBがあることを発見した。低グルタミン条件下で培養したヒト結腸直腸がんHCT116細胞およびその他のがん細胞株に由来するエキソソームは、グルタミン補給条件下で培養した細胞のエキソソームと比べ、後期エンドソームマーカーの含有量が少なく、Rab11aをはるかに多く含んでいた。グルタミン欠乏細胞由来エキソソーム中での上皮増殖因子受容体(EGFR)リガンド・アンフィレグリンの増加をはじめとして、その他のエキソソームカーゴタンパク質も2つのエキソソーム集団において差次的に認められた。グルタミンの欠乏はラパマイシン機構的標的複合体1(mTORC1)のシグナル伝達を阻害し、他の方法によるmTORC1シグナル伝達の抑制もエキソソーム集団に同様の変化を引き起こした。グルタミン欠乏条件下で分泌されたエキソソームは、グルタミン補給条件下で培養された細胞由来の対照エキソソーム、またはグルタミン欠乏条件下で培養されたRab11aノックダウン細胞由来のエキソソームと比べ、未処置のHCT116細胞およびヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の増殖を刺激した。グルタミン欠乏細胞由来のエキソソームのアンフィレグリン遮断抗体による処理は、HCT116細胞増殖の刺激を阻害した。グルタミン欠乏HCT116培養細胞由来のエキソソームをマウスのHCT116異種移植片に注射したとき、グルタミン補給培養細胞由来のエキソソームで誘導された場合に比べ、血管の成長を大きく刺激した。これらの所見は、栄養ストレスがエキソソームの生合成経路および内容物の両方のスイッチを刺激できることを示し、正常組織で産生されたエキソソームと腫瘍で産生されたエキソソームの質的な違いを説明している可能性がある。