• ホーム
  • ドパミンニューロンにおけるµ-オピオイド受容体誘導性シナプス可塑性がアナボリックアンドロゲンステロイドの報酬作用を仲介する

ドパミンニューロンにおけるµ-オピオイド受容体誘導性シナプス可塑性がアナボリックアンドロゲンステロイドの報酬作用を仲介する

µ-Opioid receptor-induced synaptic plasticity in dopamine neurons mediates the rewarding properties of anabolic androgenic steroids

Research Article

Sci. Signal. 01 Sep 2020:
Vol. 13, Issue 647, eaba1169
DOI: 10.1126/scisignal.aba1169

Leonardo Bontempi1,* and Antonello Bonci2,*

  1. 1 Intramural Research Program, Synaptic Plasticity Section, National Institute on Drug Abuse, Baltimore, MD 21224, USA.
  2. 2 Global Institutes on Addictions, Miami, FL 33132 USA.

* Corresponding author. Email: leonardo.bontempi@iit.it (L.B.); anto.bonci@gia.miami (A.B.)

要約

アナボリックアンドロゲンステロイド(AAS)は医学的に有用であるが、乱用されることが多く、脳の報酬回路に対するAASの作用が、嗜癖につながることが示唆されている。われわれは、マウスにおけるAASの報酬作用に関して、これまでに報告されたAASと内因性µ-オピオイド系との相関を検討した。超生理学的用量の天然または合成AASの単回注射により、推定上の腹側被蓋野(VTA)ドパミン作動性ニューロンにおいて、興奮性シナプス伝達が強化されることがわかった。この作用は、µ-オピオイド受容体(MOR)の活性化と、VTA内および血漿中に放出されるβ-エンドルフィンの増加に関連した。VTAのMORを不可逆的に遮断すると、2つの薬物探索行動、自発運動活性、場所嗜好性が解消された。これらのデータから、AASは、内因性オピオイドシグナル伝達の活性化を介して、脳のドパミン作動性報酬中枢を間接的に刺激すること、またこの機構がAASの嗜癖作用を仲介することが示唆される。

Citation: L. Bontempi, A. Bonci, µ-Opioid receptor-induced synaptic plasticity in dopamine neurons mediates the rewarding properties of anabolic androgenic steroids. Sci. Signal. 13, eaba1169 (2020).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2020年9月1日号

Editors' Choice

エキソソームのスイッチを入れる

Research Article

ドパミンニューロンにおけるµ-オピオイド受容体誘導性シナプス可塑性がアナボリックアンドロゲンステロイドの報酬作用を仲介する

14-3-3の結合はホスホランバンの修飾状態を安定化することによってキナーゼ活性の記憶を作る

GTPアーゼ Rap1の活性化因子であるC3Gの自己調節機構とリンパ腫におけるその触媒調節解除

最新のResearch Article記事

2025年08月05日号

腫瘍浸潤性の侵害受容ニューロンが免疫抑制を促進する

2025年07月29日号

USP5はFcεRIγを脱ユビキチン化して安定化させ、IgEに誘導されるマスト細胞の活性化とアレルギー性炎症を促進する

2025年07月29日号

プロテオミクス解析により発がん性KRASシグナル伝達の標的、経路および細胞への影響を特定

2025年07月22日号

心筋細胞におけるPTP1Bの欠失は心臓の代謝シグナル伝達を変化させ、高脂肪食によって誘発される心筋症を予防する

2025年07月22日号

レポーターに基づくスクリーニングによってRAS-RAF変異を大腸がんにおける活性型RAS阻害薬耐性のドライバーとして同定