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ピロトーシスのチェックポイント

A checkpoint for pyroptosis

Editor's Choice

Sci. Signal. 27 Oct 2020:
Vol. 13, Issue 655, eabf4018
DOI: 10.1126/scisignal.abf4018

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: wwong@aaas.org

J. Hou, R. Zhao, W. Xia, C.-W. Chang, Y. You, J.-M. Hsu, L. Nie, Y. Chen, Y.-C. Wang, C. Liu, W.-J. Wang, Y. Wu, B.Ke, J. L. Hsu, K. Huang, Z. Ye, Y. Yang, X. Xia, Y. Li, C.-W. Li, B. Shao, J. A. Tainer, M.-C. Hung, PD-L1-mediated gasdermin C expression switches apoptosis to pyroptosis in cancer cells and facilitates tumour necrosis. Nat. Cell Biol. 22, 1264-1275 (2020). Google Scholar

M. T. Blasco, R. R. Gomis, PD-L1 controls cancer pyroptosis. Nat. Cell Biol. 22, 1157-1159 (2020). Google Scholar

免疫チェックポイントタンパク質の核内プールが、TNFαの下流でピロトーシスと腫瘍壊死を促進する。

要約

腫瘍低酸素領域における壊死は、TNFαを分泌するマクロファージの蓄積に関連するだけでなく、がん治療に対する抵抗性にも関連する。Houらは、免疫チェックポイントタンパク質PD-L1が、TNFαに誘導される細胞死を、炎症の関わらないアポトーシスから、ガスダーミンファミリーのタンパク質を必要とする炎症経路であるピロトーシスに切り替えることを見出した(BlascoとGomisも参照)。MDA-MB-231乳がん細胞において、低酸素は転写因子Stat3のTyr703のリン酸化を誘導し、そのPD-L1との相互作用とPD-L1の核移行を促進した。PD-L1欠損MDA-MB-231細胞を、変異した核外輸送シグナルを有するPD-L1で再構成すると、TNFα誘導性のピロトーシスが増強され、この作用はStat3の抑制によって阻止された。低酸素状態のMDA-MB-231細胞では、核内のPD-L1とTyr703がリン酸化されたStat3が、ガスダーミンCをコードするGSDMCを転写的に活性化した。TNFαがカスパーゼ-8によるGSDMCの切断を誘導して、ポア形成N末端フラグメントを生成し、このフラグメントがピロトーシスを引き起こした。ヌードマウスのMDA-MB-231異種移植片における腫瘍壊死は、核移行シグナルが変異したPD-L1の発現、カスパーゼ-8の欠損、あるいはマクロファージまたはTNFαの枯渇によって減少し、GSDMCの過剰発現によって増加した。このマウス腫瘍モデルとヒト乳腺腫瘍検体において、PD-L1とTyr703がリン酸化されたStat3は腫瘍の低酸素領域に存在した。野生型PD-L1を発現する4T1細胞から生成された乳腺腫瘍を同所性に移植したマウスでは、核移行配列が変異したPD-L1を発現する4T1細胞を移植したマウスと比較して、腫瘍壊死が増加し、生存率が低下した。ドキソルビシンなどの抗生物質系化学療法剤は、カスパーゼ-8活性の上昇、GSDMC切断、ピロトーシスと関連しており、カスパーゼ-8活性を阻害すると、これらの化学療法剤によって誘導されるピロトーシスが減少した。このように、核移行したPD-L1は、TNFαの下流でGSDMC切断、ピロトーシス、腫瘍壊死を促進する。

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