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思春期へのセラミド高速トラック

The ceramide fast track to puberty

Editor's Choice

Sci. Signal. 22 Dec 2020:
Vol. 13, Issue 663, eabg2177
DOI: 10.1126/scisignal.abg2177

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: wwong@aaas.org

V. Heras, J. M. Castellano, D. Fernandois, I. Velasco, E. Rodríguez-Vazquez, J. Roa, M. J. Vazquez, F. Ruiz-Pino,M. Rubio, R. Pineda, E. Torres, M. S. Avendaño, A. Paredes, L. Pinilla, D. Belsham, C. Diéguez, F. Gaytán, N.Casals, M. López, M. Tena-Sempere, Central ceramide signaling mediates obesity-induced precocious puberty. Cell Metab. 32, 951-966.e8 (2020). Google Scholar

雌ラットにおいて食餌性肥満は視床下部のセラミドシグナル伝達を引き起こして思春期早発症を誘発する。

要約

思春期開始時には、ペプチドホルモンのキスペプチンが性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌を惹起し、GnRHが性成熟を促進する性腺刺激ホルモンの分泌を誘導する。女児の小児期肥満は思春期の開始を加速させることが多い。Herasらは、雌ラットにおいて食餌性肥満によって引き起こされる思春期早発症が、視床下部室傍核(PVN)のセラミドシグナル伝達と卵巣交感神経支配が関与する回路によって媒介されることを明らかにした(Stamou and Balasubramanianも参照)。著者らは思春期早発症と視床下部のセラミド濃度の上昇を関連付けた。細胞膜浸透性のセラミド前駆物質類縁体(CER:C6)を脳室内に投与すると、性腺刺激ホルモンの基底量も視床下部のKiss1発現も変化することなく、思春期早発症が誘導された。逆に、セラミドの新規合成の最初の酵素であるSPT(セリンパルミトイルトランスフェラーゼ)の阻害物質であるミリオシンを投与されたラットでは思春期が遅延した。減食によって誘導された思春期の遅延は、外因性キスペプチンによる処置で部分的に回復したが、この作用はミリオシンの同時投与によって打ち消された。ところが、CER:C6またはミリオシンのいずれで処置しても、視床下部外植片におけるGnRHの放出には影響がなかった。卵巣を神経支配するPVNでは、思春期開始時にセラミドとSPT構成要素のSPTLC1に対する免疫反応性が高まった。肥満により誘導された思春期早発症は、PVNによる卵巣の早期交感神経活性化を引き起こした。卵巣交感神経系のこのような緊張増加は、ミリオシンの脳室内送達またはSPT構成要素SPTLC1をサイレンシングする低分子ヘアピン型RNAのPVNへの送達によって中枢セラミド合成が阻害されると、減弱した。このように、この経路は世界中で増えている小児問題である食事性肥満が原因の思春期早発症を防ぐための薬理学的操作に適している可能性がある。

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思春期へのセラミド高速トラック

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