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受容体
「二人なら良い仲間」
Receptors
Two’s Company
Sci. Signal., 9 February 2010
Vol. 3, Issue 108, p. ec45
[DOI: 10.1126/scisignal.3108ec45]
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)によるシグナル伝達の古典的モデルでは、単一のリガンドが単一のGPCRと結合し、GPCRは適切なGタンパ ク質との共役によってシグナルを伝達する。GPCRが二量体化またはオリゴマー化することを示唆する研究が多数ある。しかし、一部の受容体は明らかに単量 体状態でシグナルを伝達し、二量体GPCRによるシグナル伝達の証拠のほとんどはトランスフェクト細胞を用いたin vitroの研究から得られているので、この概念には議論の余地がある(Vassartのコメント参照)。Rivero-Mullerらは、一部の糖タンパク質ホルモン受容体がトランス活性化(分子間協同)によってin vitroで 作用すると考えられることに注目し、変異型黄体形成ホルモン受容体(LHR)によるシグナル伝達について検討した。ある変異型にはリガンドであるLHとの 結合を阻止する突然変異が含まれ、また別の変異型は2つの膜貫通ドメインが欠損していることによって、Gタンパク質と共役してセカンドメッセンジャーの cAMPを産生することができなかった。本研究ではまず、これら両方の型の受容体がトランスフェクトされたHEK 293細胞内で物理的に相互作用し、両受容体を含有する細胞はLHに応答してcAMPを産生するが、これらの受容体のいずれかのみを発現している細胞は産 生しないことを示した。次に、変異型LHRのいずれかのみを発現しているLHRノックアウトバックグラウンドのトランスジェニックマウスを作製した。予想 通り、これらのマウスはLHRノックアウトマウスと同じ表現型である不妊および性腺機能低下を示した。しかし、これらのマウスを交配して得られたマウスは 両受容体を発現し、性的発達は正常で、野生型と同様の生殖能力を示した。これらの知見が他のGPCRクラスにも適用できるか否かはまた不明だが、これらの データを合わせるとin vivoでのGPCRの機能的協同が示唆される。
A. Rivero-Muller, Y.-Y. Chou, I. Ji, S. Lajic, A. C. Hanyaloglu, K. Jonas, N. Rahman, T. H. Ji, I. Huhtaniemi, Rescue of defective G protein-coupled receptor function in vivo by intermolecular cooperation. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 107, 2319-2324 (2010). [Abstract] [Full Text]
G. Vassart, An in vivo demonstration of functional G protein-coupled receptor dimers. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 107, 1819-1820 (2010). [Full Text]
J. F. Foley, Two's Company. Sci. Signal. 3, ec45 (2010).