繊毛
流れを決める

Cilia
Determining the Flow

Editor's Choice

Sci. Signal., 6 April 2010
Vol. 3, Issue 116, p. ec102
[DOI: 10.1126/scisignal.3116ec102]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

繊毛は細胞外液の流れを調節する細胞膜の突起であり、気道における粘液の一定方向への移動や発生中のモルフォゲン勾配の形成などの多様な過程に欠か せない。これらの機能は繊毛の協調的な配向性に依存し、繊毛全体が同じ方向になびく。しかし、繊毛の配向性を調節する合図についてはわかっていない。繊毛 を適切に配置するには、発生中に細胞の頂端の方向づけを調節する平面内細胞極性(PCP)シグナル伝達が必要であることを示す研究がある一方で、液体の流 れが繊毛に影響を及ぼすことを示唆する研究もある(Marshallによる解説参照)。今回、2つの研究グループが、繊毛の配向性にはPCP経路と流れの 両方が必要であることを示した。Guiraoらは、マウス脳室内の上衣細胞にみられる繊毛の配向性について研究した。これらの細胞の発生中に、繊毛の基底 小体が頂端表面にランダムな向きで結合した。しかし、時間が経つにつれて、繊毛はみずから向きを変え、脳脊髄液の流れと同じ方向に整列した。in vitro研 究では、流れに依存する繊毛の再配置には、繊毛沿いや基底小体にみられるVan Gogh様2(Vangl2)というPCPシグナル伝達の構成要素が必要であることが示された。Borovinaらは、Vangl2を欠失させたゼブラ フィッシュの胚について研究し、Kuppfer小胞の繊毛の傾斜角や非対称性の局在化が損なわれていることを示した。まとめると、今回の2つの研究は、繊 毛の適切な配向性には、流体力とPCPの組合せが必要であることを示している。流れがもたらす最初の力は、PCPシグナル伝達に依存する機構を介する繊毛 の自己組織化の引き金となる、長距離シグナルとして作用する。

B. Guirao, A. Meunier, S. Mortaud, A. Aguilar, J.-M. Corsi, L. Strehl, Y. Hirota, A. Desoeuvre, C. Boutin, Y.-G. Han, Z. Mirzadeh, H. Cremer, M. Montcouquiol, K. Sawamoto, N. Spassky, Coupling between hydrodynamic forces and planar cell polarity orients mammalian motile cilia. Nat. Cell Biol. 12, 341-350 (2010). [PubMed]

A. Borovina, S. Superina, D. Voskas, B. Ciruna, Vangl2 directs the posterior tilting and asymmetric localization of motile primary cilia. Nat. Cell Biol. 12, 407-412 (2010). [PubMed]

W. F. Marshall, Cilia self-organize in response to planar cell polarity and flow. Nat. Cell Biol. 12, 314-315 (2010). [PubMed]

J. F. Foley, Determining the Flow. Sci. Signal. 3, ec102 (2010).

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2010年4月6日号

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繊毛
流れを決める

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