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概日リズム
転写からの解放

Circadian Rhythms
Free from Transcription

Editor's Choice

Sci. Signal., 1 February 2011
Vol. 4, Issue 158, p. ec29
[DOI: 10.1126/scisignal.4158ec29]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

約24時間周期の概日リズムは多くの生理的過程や代謝過程を調節する。藻類からヒトに至るまで、概日リズムは転写―翻訳のフィードバックループによって調節される。時計遺伝子の産物はリプレッサー遺伝子の発現を誘導する転写アクチベーターであり、リプレッサー遺伝子の産物はフィードバックによりアクチベーターを抑制する(BassとTakahashi参照)。O’NeillとReddyは、核を持たず、転写をサポートできないヒト赤血球(RBC)における概日リズムの非転写制御の役割について検討した。この著者らは、ペルオキシレドキシン(酸化されて二量体を形成することによって、過酸化物からRBCを保護し、その後還元されて単量体になるタンパク質)についてモニターし、ペルオキシレドキシンが暗所で一定温度に保ったRBCにおいて酸化還元の概日リズムを示すことを見いだした。この周期は、温度によって同調されると考えられるが、転写や翻訳の阻害剤の影響を受けなかった。還元剤のNADHやNADPHと同様に、二量体ヘモグロビン(過酸化物源)と四量体ヘモグロビン(より少量の過酸化物を産生)の間の平衡も概日リズムを示した。マウスNIH 3T3細胞におけるペルオキシレドキシンのレドックス周期も概日リズムを示したが、これは時計遺伝子欠損マウス由来細胞では変化していた。逆に、ヒト細胞においてさまざまなペルオキシレドキシンをコードする遺伝子をノックダウンすると、概日遺伝子の発現が影響を受けた。同時に掲載された研究において、O’Neillらは単純な藻類Ostreococcus tauriにおける概日リズムについて検討した。暗所で一定温度に保った場合、転写―翻訳ループによって制御される藻類の概日リズムは、再び光に曝露されるまで中断する。しかし、周期はリセットされるのではなく、暗くなった時点から継続している。この著者らは、藻類におけるペルオキシレドキシンのレドックス周期は、暗所でも転写非依存的に持続し、哺乳類細胞における時計阻害剤は藻類にも同様の影響を及ぼすことを見いだした。これらの研究から、非転写代謝周期は遺伝子の周期変動と共役してリズムのアウトプットを制御すると考えられる。

J. S. O’Neill, A. B. Reddy, Circadian clocks in human red blood cells. Nature 469, 498-503 (2011).[Online Journal] 
J. S. O’Neill, G. van Ooijen, L. E. Dixon, C. Troein, F. Corellou, F.-Y. Bouget, A. B. Reddy, A.

J. Millar, Circadian rhythms persist without transcription in a eukaryote. Nature 469, 554-558 (2011).[Online Journal]

J. Bass, J. S. Takahashi, Redox redux. Nature 469, 476-478 (2011). [Online Journal]

J. F. Foley, Free from Transcription. Sci. Signal. 4, ec29 (2011).

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2011年2月1日号

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