• ホーム
  • ミトコンドリア膜電位はMAVSを介する抗ウイルスシグナル伝達に必要である

ミトコンドリア膜電位はMAVSを介する抗ウイルスシグナル伝達に必要である

Mitochondrial Membrane Potential Is Required for MAVS-Mediated Antiviral Signaling

Research Article

Sci. Signal., 1 February 2011
Vol. 4, Issue 158, p. ra7
[DOI: 10.1126/scisignal.2001147]

Takumi Koshiba1*, Kai Yasukawa1, Yusuke Yanagi2, and Shun-ichiro Kawabata1

1 Department of Biology, Faculty of Sciences, Kyushu University, 6-10-1 Hakozaki, Higashi-ku, Fukuoka 812-8581, Japan.
2 Department of Virology, Faculty of Medicine, Kyushu University, Higashi-ku, Fukuoka 812-8582, Japan.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: koshiba@kyudai.jp

要約:融合と分裂のサイクルを繰り返すダイナミックな細胞内小器官であるミトコンドリアは、真核細胞の発電所的な役割を果たし、哺乳動物では細胞の抗ウイルス自然免疫応答にも関わっている。ミトコンドリアの抗ウイルス免疫応答は、細胞質のレチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)様受容体(RLR)のシグナル伝達経路の活性化、ならびにミトコンドリア外膜のアダプタータンパク質であるミトコンドリア抗ウイルスシグナル伝達(MAVS)の関与に依存する。われわれは、マイトフュージン1(Mfn1)マイトフュージン2(Mfn2)の両方を欠損させることによってミトコンドリア融合能を失った細胞では、ウイルス感染に対するインターフェロンと炎症性サイトカインの誘導が障害され、それによってウイルスの複製が亢進することを明らかにした。対照的に、Mfn1とMfn2のいずれかに完全欠失突然変異をもつ細胞は、そのRLR誘導性抗ウイルス応答能を維持していた。また、ミトコンドリア膜電位の低下(Δψm)は抗ウイルス応答の低下と関連することも明らかになった。Δψmの消失はMAVSの下流にある転写因子インターフェロン調節因子3の活性化に影響しない。このことは、ΔψmとMAVSがRLRシグナル伝達経路の同じステージで共役していることを示唆する。このような結果は、ミトコンドリアの生理的機能が抗ウイルス自然免疫において重要な役割を果たすことの証拠である。

T. Koshiba, K. Yasukawa, Y. Yanagi, S.-i. Kawabata, Mitochondrial Membrane Potential Is Required for MAVS-Mediated Antiviral Signaling. Sci. Signal. 4, ra7 (2011).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2011年2月1日号

Editors' Choice

概日リズム
転写からの解放

Research Article

Wntシグナル伝達は肝臓での代謝を調節する

ミトコンドリア膜電位はMAVSを介する抗ウイルスシグナル伝達に必要である

Perspectives

Treg細胞になるべきか、ならざるべきか:エピジェネティックな機構によって制御される分化系列の決定

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する