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細胞間多様性解析がT細胞における共通γ鎖サイトカインのシグナル伝達の可塑性を解明する
Cell-to-Cell Variability Analysis Dissects the Plasticity of Signaling of Common γ Chain Cytokines in T Cells
Sci. Signal., 12 March 2013
Vol. 6, Issue 266, p. ra17
[DOI: 10.1126/scisignal.2003240]
Jesse W. Cotari1,2*, Guillaume Voisinne1,2*, Orly Even Dar1, Volkan Karabacak1,2, and Grégoire Altan-Bonnet1,2†
1 ImmunoDynamics Group, Programs in Computational Biology and Immunology, Memorial Sloan-Kettering Cancer Center, New York, NY 10065, USA.
2 Center for Cancer Systems Biology, Memorial Sloan-Kettering Cancer Center, New York, NY 10065, USA.
* These authors contributed equally to this work.
† Corresponding author. E-mail: altanbog@mskcc.org
要約
シグナル伝達調節因子量の多様性によって、分化状態を同じくする遺伝的に同一の細胞間においても細胞の運命が分岐する可能性がある。本研究では、シグナル調節因子量の多様性と細胞の刺激感受性の変動の相関を定量化する実験と計算の方法論である細胞間多様性解析(CCVA)を用いて、インターロイキン2(IL-2)受容体α鎖(IL-2Rα)が、共通g鎖(γc)受容体を介してシグナル伝達するサイトカインに対する初代培養マウスTリンパ球の感受性に対して及ぼす、予期していなかった影響について調べた。その結果、IL-2Rα量が増加すると、下流エフェクターであるシグナル伝達性転写因子(STAT5)の最大活性化半量(EC50)に必要なIL-2濃度が低下したが、IL-7またはIL-15に対する反応性は低下し、他のγcサイトカインのEC50値には影響はなかった。γcサイトカインシグナル伝達に対するIL-2Rαの作用の機序を解明するため、本研究では、これまでの生物物理学的測定データを基に受容体シグナル伝達複合体の生成をモデル化するベイズ推論計算フレームワークを用いて、IL-2Rαが機能的IL-2R複合体の集合を介してγcの枯渇を誘導するというモデルがCCVAデータおよび実験測定のいずれとも一致することを明らかにした。CCVAと計算的モデリングを併用することでTリンパ球におけるγcサイトカイン受容体シグナル伝達間クロストークの量的判断が可能になった。
J. W. Cotari, G. Voisinne, O. E. Dar, V. Karabacak, G. Altan-Bonnet, Cell-to-Cell Variability Analysis Dissects the Plasticity of Signaling of Common γChain Cytokines in T Cells. Sci. Signal. 6, ra17 (2013).