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血管内皮増殖因子受容体1リガンドの異なる生物学的活性の基盤

The Basis for the Distinct Biological Activities of Vascular Endothelial Growth Factor Receptor–1 Ligands

Research Article

Sci. Signal., 2 July 2013
Vol. 6, Issue 282, p. ra52
[DOI: 10.1126/scisignal.2003905]

Andrey Anisimov1*, Veli-Matti Leppänen2*, Denis Tvorogov1, Georgia Zarkada1,2, Michael Jeltsch1,2, Tanja Holopainen1, Seppo Kaijalainen1, and Kari Alitalo1,2

1 Translational Cancer Biology Program, Biomedicum Helsinki and Helsinki University Central Hospital, University of Helsinki, FIN-00014 Helsinki, Finland.
2 Wihuri Research Institute, Biomedicum Helsinki, Haartmaninkatu 8, FIN-00290 Helsinki, Finland.

* These authors contributed equally to this work.

Corresponding author. E-mail: kari.alitalo@helsinki.fi

要約:血管内皮増殖因子(VEGF)は、VEGF受容体(VEGFR)を介して血管とリンパ管の発生を調節する。VEGFRの免疫グロブリン相同ドメイン2(D2)は、リガンド結合に不可欠であり、D3はさらなる相互作用部位を提供する。VEGF-Bと胎盤成長因子(PlGF)は、高い親和性でVEGFR-1に結合するが、ほとんどの組織において、PlGFのみが血管新生作用を示す。われわれは、VEGF-Bが、他のVEGFとは異なり、高親和性結合のためにD3との相互作用を必要としないことを示す。PlGF由来のL1ループをもつVEGF-B(B-L1P)は、VEGFR-1の活性を刺激したが、VEGF-B由来のL1ループをもつPlGF(P-L1B)は刺激しなかった。P-L1BやVEGF-Bと異なり、B-L1PとPlGFは、マウス骨格筋においても血管新生作用を示した。さらに、B-L1PはVEGFR-2にも結合し、下流のシグナル伝達を活性化させた。これらの結果により、内皮細胞でのVEGFR活性化における、L1を介したD3の相互作用の役割が立証されるとともに、VEGF-Bは高親和性VEGFR-1リガンドであるが、PlGFとは異なり、VEGFR-1の下流のシグナル伝達を効率的に誘導することはできないことが示唆される。

A. Anisimov, V.-M. Leppänen, D. Tvorogov, G. Zarkada, M. Jeltsch, T. Holopainen, S. Kaijalainen, K. Alitalo, The Basis for the Distinct Biological Activities of Vascular Endothelial Growth Factor Receptor–1 Ligands. Sci. Signal. 6, ra52 (2013).

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