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腫瘍壊死因子受容体2細胞内ドメインからの非筋肉ミオシンIIの遊離は標的遺伝子の発現に必要

Release of Nonmuscle Myosin II from the Cytosolic Domain of Tumor Necrosis Factor Receptor 2 Is Required for Target Gene Expression

Research Article

Sci. Signal., 16 July 2013
Vol. 6, Issue 284, p. ra60
[DOI: 10.1126/scisignal.2003743]

Unni M. Chandrasekharan1,2, Lisa Dechert1, Uchechukwu I. Davidson2, Matthew Waitkus1,3, Lori Mavrakis1, Katherine Lyons1, Jordan R. Beach1, Xiaoxia Li4, Thomas T. Egelhoff1,2, Paul L. Fox1,2, and Paul E. DiCorleto1,2*

1 Department of Cellular and Molecular Medicine, Cleveland Clinic Lerner Research Institute, Cleveland Clinic, 9500 Euclid Avenue, Cleveland, OH 44195, USA.
2 Lerner College of Medicine of Case Western Reserve University, Cleveland, OH 44195, USA.
3 Department of Biological Sciences, Cleveland State University, Cleveland, OH 44115, USA.
4 Department of Immunology, Cleveland Clinic Lerner Research Institute, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.

* Corresponding author. E-mail: dicorlp@ccf.org

要約:腫瘍壊死因子-a(TNF-α)は、その生物学的活性をTNF受容体1(TNFR1、p55としても知られる)およびTNFR2(p75としても知られる)の活性化を通して導く。両受容体の活性は、TNF-α誘導性の炎症反応に必要である。アダプタータンパク質TNFR関連因子2(TRAF2)は、標的遺伝子の発現に加えて、p55またはp75を介した核因子κB(NF-κB)の活性化ならびにマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達にきわめて重要である。われわれは、非筋肉ミオシンII(ミオシン)をp75の結合パートナーとして同定した。p75によるTNF-α依存性シグナル伝達および標的遺伝子の発現の誘導は、制御性のミオシン軽鎖(MRLC、ミオシンの構成要素)を欠損した細胞のほうが、ミオシンを細胞よりもかなり長く持続した。静止状態にある内皮細胞では、ミオシンは、TRAF2結合領域と重複する領域であるp75の細胞内ドメインに恒常的に結合しており、TNF-αはミオシンのp75からの迅速な解離を引き起こした。TNF-αへの曝露後の初期の時点では、p75はRho関連キナーゼ1(ROCK1)を活性化した。ROCK1活性を阻害すると、MRLCのTNF-α依存性リン酸化とミオシンのp75からの解離が遮断された。ROCK1依存性のミオシン遊離は、TNF-αに依存するTRAF2のp75への動員、p75特異的なNF-κB活性化およびMAPKシグナル伝達に必要であった。したがって、われわれの結果から、サイトカインシグナル伝達における、これまで特徴付けられなかったミオシンの非標準的な制御機能が明らかになった。

U. M. Chandrasekharan, L. Dechert, U. I. Davidson, M. Waitkus, L. Mavrakis, K. Lyons, J. R. Beach, X. Li, T. T. Egelhoff, P. L. Fox, P. E. DiCorleto, Release of Nonmuscle Myosin II from the Cytosolic Domain of Tumor Necrosis Factor Receptor 2 Is Required for Target Gene Expression. Sci. Signal. 6, ra60 (2013).

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2013年7月16日号

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