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抗糖尿病薬スルホニル尿素とcAMPは協調的にEpac2Aを活性化する
Antidiabetic Sulfonylureas and cAMP Cooperatively Activate Epac2A
Sci. Signal., 22 October 2013
Vol. 6, Issue 298, p. ra94
[DOI: 10.1126/scisignal.2004581]
Toshimasa Takahashi1,2, Tadao Shibasaki3, Harumi Takahashi1, Kenji Sugawara1,2, Aika Ono3, Naoko Inoue4, Toshio Furuya4, and Susumu Seino1,2,3*
1 Division of Molecular and Metabolic Medicine, Kobe University Graduate School of Medicine, 7-5-1, Kusunoki-cho, Chuo-ku, Kobe 650-0017, Japan.
2 Division of Diabetes and Endocrinology, Kobe University Graduate School of Medicine, Kobe 650-0017, Japan.
3 Division of Cellular and Molecular Medicine, Kobe University Graduate School of Medicine, Kobe 650-0017, Japan.
4 PharmaDesign Inc., 2-19-8, Hatchobori, Chuo-ku, Tokyo 104-0032, Japan.
* Corresponding author. E-mail: seino@med.kobe-u.ac.jp
要約
2型糖尿病患者におけるインスリン欠乏の治療には、スルホニル尿素が広く使用されている。スルホニル尿素は、インスリン分泌を制御している膵β細胞のカリウムチャネルの調節サブユニットに結合する。またスルホニル尿素は、Ras様グアノシントリホスファターゼRap1の活性化を介してインスリン分泌を促進している、環状アデノシン一リン酸(cAMP)結合タンパク質のEpacファミリーのメンバーであるEpac2Aにも結合し、活性化している。われわれは分子ドッキングシミュレーションを用い、Epac2Aの2つの環状ヌクレオチド結合ドメインのうち1つ(cNBD-A)に、スルホニル尿素との相互作用を媒介すると予測されるアミノ酸残基を特定した。さらに、この特定された残基の重要性を、部位特異的変異導入法と、以下の2つのアッセイを用いたスルホニル尿素に対する突然変異体の反応の解析により確認した。すなわち、Epac2A-FRETバイオセンサーの蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の変化、および直接のスルホニル尿素結合実験である。これらの残基は、Epac2Aによるスルホニル尿素依存性のRap1活性化にも必要であった。Epac2Aに対するスルホニル尿素の結合は、cAMP濃度と薬物の構造に依存していた。スルホニル尿素とcAMPは、それぞれcNBD-AとcNBD-Bに結合することでEpac2Aを協調的に活性化していた。われわれのデータは、スルホニル尿素がEpac2Aを開放型の活性化状態で安定化することを示唆し、さらにEpac2Aを標的とする薬物の開発の手がかりを示している。
T. Takahashi, T. Shibasaki, H. Takahashi, K. Sugawara, A. Ono, N. Inoue, T. Furuya, S. Seino, Antidiabetic Sulfonylureas and cAMP Cooperatively Activate Epac2A. Sci. Signal. 6, ra94 (2013).