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タンパク質の量および構造のデータを統合することによってErbBシグナル伝達ネットワークの競合を明らかにする

Integration of Protein Abundance and Structure Data Reveals Competition in the ErbB Signaling Network

Research Article

Sci. Signal., 17 December 2013
Vol. 6, Issue 306, p. ra109
[DOI: 10.1126/scisignal.2004560]

Christina Kiel1,2*, Erik Verschueren1,2, Jae-Seong Yang1,2, and Luis Serrano1,2,3

1 European Molecular Biology Laboratory and Centre for Genomic Regulation Systems Biology Research Unit, Dr. Aiguader Street 88, 08003 Barcelona, Spain.
2 Universitat Pompeu Fabra, 08003 Barcelona, Spain.
3 Institució Catalana de Recerca i Estudis Avançats, Passeig Lluís Companys 23, 08010 Barcelona, Spain.

* Corresponding author. E-mail: christina.kiel@crg.eu

要約

種類の異なる細胞間にみられるシグナル伝達の違いなど、状況特異的なシグナル伝達の違いを生む機構については、完全には理解されていない。考えられる機構の1つは、タンパク質量の違いがシグナル伝達の出力を変えるというもので、これはネットワークの重要な分岐点で、タンパク質同士がハブタンパク質に結合しようと競合するためである。われわれはErbBシグナル伝達に注目し、タンパク質ドメインについての情報を搭載したタンパク質の相互作用ネットワークを作成して、競合的なタンパク質の相互作用が果たす役割を解析した。タンパク質の三次元構造を活用して共通の結合ドメインまたは直鎖モチーフ(ノード)に結合するパートナー間の立体相互作用を推測し、タンパク質量と相互作用の親和性についての情報を搭載することによって、われわれは、競合する相互排他的(XOR)タンパク質の相互作用を数多く同定した。パートナータンパク質とXORノード(XORモチーフ)に多様なパターンをもたせたうえでタンパク質量の変化をモデリングすることによって、モチーフごとに異なる反応が得られることを明らかにした。われわれは、ハブタンパク質Rasとその結合パートナーであるRIN1(RasおよびRas相互作用因子1)およびCRAF(v-raf–白血病ウイルスがん遺伝子1)を含むXORモチーフについて実験的に調べた。計算予測と一致して、培養細胞でRIN1を過剰発現させるとCRAFおよびその下流標的のリン酸化は減少した。このように、われわれの解析は、XORノードとの結合を競合するタンパク質の量の変動が状況特異的なシグナル伝達の可塑性に寄与している可能性を示す証拠を提供している。

C. Kiel, E. Verschueren, J.-S. Yang, L. Serrano, Integration of Protein Abundance and Structure Data Reveals Competition in the ErbB Signaling Network. Sci. Signal. 6, ra109 (2013).

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