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リポ多糖誘導性のNF-κBシグナル伝達におけるフィードバック機構間の相対的優位性の切り替わり

Switching of the Relative Dominance Between Feedback Mechanisms in Lipopolysaccharide-Induced NF-κB Signaling

Research Article

Sci. Signal., 14 January 2014
Vol. 7, Issue 308, p. ra6
[DOI: 10.1126/scisignal.2004764]

Myong-Hee Sung1*, Ning Li2†, Qizong Lao1†, Rachel A. Gottschalk2, Gordon L. Hager1*, and Iain D. C. Fraser2*

1 Laboratory of Receptor Biology and Gene Expression, National Cancer Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.
2 Laboratory of Systems Biology, National Institute of Allergy and Infectious Diseases, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.

†?These authors contributed equally to this work.

* Corresponding author. E-mail: sungm@mail.nih.gov (M.-H.S.); hagerg@mail.nih.gov (G.L.H.); fraseri@niaid.nih.gov (I.D.C.F.)

要約

生物学の基本的な目標は、相反するシグナルが同時に働く中で、適切な細胞応答が達成される仕組みを定量的に理解することである。単一生細胞のイメージングを用いて、細菌産物のリポ多糖(LPS)に曝されたマクロファージにおいて、核内因子κB(NF-κB)シグナル伝達と炎症性サイトカイン遺伝子転写の両方のダイナミクスを観察した。われわれの解析によって、NF-κBのRelA (p65)サブユニットをコードするRelaの発現誘導が関与する、これまでに特性が解析されていなかった正のフィードバックループが明らかになった。細胞がある明確な濃度を超えるLPSに曝されると、この正のフィードバックループによって、調節ネットワークの配線が替えられた。逆説的なことに、マクロファージ(骨髄細胞型)におけるNF-κBシグナル伝達のこのような再配線には、リンパ細胞の発生を促進する転写因子Ikarosが必要であった。数学的モデリングと実験的検証によって、RelAの正のフィードバックは既存の負のフィードバックループに打ち勝ち、細胞が異なる濃度のLPSを識別できるようにして、より高濃度でのみ有効な自然免疫応答を開始させることが示された。フィードバックループの相対的優位性におけるこの切り替わり(「フィードバックの優位性の切り替わり(feedback dominance switching)」)が、免疫細胞において、重要な転写調節因子に対する反対方向のフィードバックを統合し、宿主の応答閾値を設定するための一般的機構である可能性があると、われわれは考えている。

M.-H. Sung, N. Li, Q. Lao, R. A. Gottschalk, G. L. Hager, I. D. C. Fraser, Switching of the Relative Dominance Between Feedback Mechanisms in Lipopolysaccharide-Induced NF-κB Signaling. Sci. Signal. 7, ra6 (2014).

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