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T細胞受容体からNF-κBへのシグナル伝達は細胞質のp62-Bcl10-Malt1-IKKシグナロソームを介している

T Cell Receptor Signals to NF-κB Are Transmitted by a Cytosolic p62-Bcl10-Malt1-IKK Signalosome

Research Article

Sci. Signal., 13 May 2014
Vol. 7, Issue 325, p. ra45
[DOI: 10.1126/scisignal.2004882]

Suman Paul1*, Maria K. Traver1, Anuj K. Kashyap1†, Michael A. Washington1‡, Joseph R. Latoche, and Brian C. Schaefer1,2||

1 Department of Microbiology and Immunology, Uniformed Services University, Bethesda, MD 20814, USA.
2 Center for Neuroscience and Regenerative Medicine, Uniformed Services University, Bethesda, MD 20814, USA.

* Present address: Department of Internal Medicine, The University of Toledo Medical Center, 3000 Arlington Avenue, Toledo, OH 43614, USA.

† Present address: Howard Hughes Medical Institute, Janelia Farm Research Campus, Molecular Biology Shared Resource, 19700 Helix Drive, Ashburn, VA 20147, USA.

‡ Present address: Department of Clinical Investigation, Tripler Army Medical Center, 1 Jarrett White Road, Honolulu, HI 96818, USA.

§ Present address: Integrative Cardiac and Metabolic Health Program, Windber Research Institute, 620 7th Street, Windber, PA 15963, USA.

|| Corresponding author. E-mail: brian.schaefer@usuhs.edu

要約

抗原を介したT細胞受容体(TCR)の刺激は、T細胞の増殖およびエフェクター細胞の分化の重要な転写制御因子である核因子κB(NF-κB)の活性化を惹起する。TCRからNF-κBへのシグナル伝達には、Carma1-Bcl10-Malt1(CBM)複合体とκB阻害因子(IκB)キナーゼ(IKK)複合体の両方が必要であるが、CBM複合体とIKKの活性化を結びつける分子機構は、完全には明らかにされていない。われわれは、活性型IKK複合体が、エフェクターT細胞内で形成される、アダプタータンパク質p62を含むTCR依存性の細胞質Bcl10-Malt1シグナロソームの構成要素であることを見いだした。リン酸化されたIκBαおよびNF-κBは、NF-κBが核に移行する前に、一過性にこのシグナロソームに動員された。キナーゼであるTAK1またはIKKの活性の阻害によりIKKのリン酸化は遮断されたが、p62-Bcl10-Malt1クラスターの形成は遮断されず、このことは、シグナロソームの会合後にIKKの活性化が生じることを示唆していた。さらにp62欠損マウスのT細胞の解析から、エフェクターT細胞において、シグナル伝達成分のp62依存性のクラスター形成がNF-κBの活性化を刺激したことが実証された。このように、TCR刺激性のNF-κBの活性化には、細胞質のp62-Bcl10-Malt1-IKKシグナロソームの会合が必要であり、このことがTCRの会合に応答する高度に調節されたNF-κBの活性化を確実にしている可能性がある。

S. Paul, M. K. Traver, A. K. Kashyap, M. A. Washington, J. R. Latoche, B. C. Schaefer, T Cell Receptor Signals to NF-κB Are Transmitted by a Cytosolic p62-Bcl10-Malt1-IKK Signalosome. Sci. Signal. 7, ra45 (2014).

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