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ラットにおける一次感覚神経細胞のLIMK依存性アクチン重合は炎症性熱痛覚過敏の発生を促進する

LIMK-Dependent Actin Polymerization in Primary Sensory Neurons Promotes the Development of Inflammatory Heat Hyperalgesia in Rats

Research Article

Sci. Signal., 24 June 2014
Vol. 7, Issue 331, p. ra61
[DOI: 10.1126/scisignal.2005353]

Yi Li1*, Fang Hu1*, Hai-Jing Chen1*, Yi-Juan Du1, Zhi-Ying Xie2, Ying Zhang1, Jun Wang3†, and Yun Wang1,4†

1 Neuroscience Research Institute and Department of Neurobiology, Key Laboratory for Neuroscience of Ministry of Education and Health, School of Basic Medical Sciences, Peking University, Beijing 100191, China.
2 Beijing Huijia Private School, Beijing 102200, China.
3 Department of Anatomy and Histology, School of Basic Medical Sciences, Peking University, Beijing 100191, China.
4 PKU-IDG/McGovern Institute for Brain Research, Peking University, Beijing 100871, China.

* These authors contributed equally to this work.

†?Corresponding author. E-mail: wangy66@bjmu.edu.cn (Y.W.); wangjun74008@bjmu.edu.cn (J.W.)

要約

ニューロンのアクチン細胞骨格の変化はシナプスの可塑性と関連し、侵害受容機構にも関わっていると考えられる。われわれは、アクチン動態を調節するLIMモチーフ含有プロテインキナーゼ(LIMK)が、炎症性痛覚過敏(有痛性刺激に対する過感受性)の発生を促進していることを見いだした。疼痛は後根神経節(DRG)の一次感覚神経により感知される。炎症性熱痛覚過敏を誘導する完全フロイントアジュバント(CRF)が注射されたラットでは、DRGニューロンのLIMK活性とLIMK基質であるコフィリン(アクチン脱重合タンパク質)のリン酸化、ひいてはコフィリンの阻害が亢進していた。LIMKの活性と存在量を抑制、コフィリンのリン酸化の阻害、DRGニューロンのアクチンフィラメントの脱重合する操作を行ったとき、CFA誘導性熱痛覚過敏が減弱していた。DRGニューロンにおいて炎症刺激はアクチン重合を刺激し、カプサイシンに対する陽イオンチャネルTRPV1(一過性受容体電位V1)の応答を亢進したが、この作用はLIMKのノックダウンまたはコフィリンのリン酸化阻害によって逆転した。さらに炎症刺激は、DRGニューロンにおいてTRPV1のセリンリン酸化を引き起こしたが、コフィリンのリン酸化の阻害により消失した。われわれは、TRPV1感受性の変化に至る一次感覚神経細胞におけるLIMK依存性のアクチンの再配列が、炎症性痛覚過敏の発生に関わっていると結論付けた。

Y. Li, F. Hu, H.-J. Chen, Y.-J. Du, Z.-Y. Xie, Y. Zhang, J. Wang, Y. Wang, LIMK-Dependent Actin Polymerization in Primary Sensory Neurons Promotes the Development of Inflammatory Heat Hyperalgesia in Rats. Sci. Signal. 7, ra61 (2014).

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