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患者の浸潤性乳がん細胞はMenaINVおよびマクロファージ依存性経内皮遊走を示す

Invasive breast carcinoma cells from patients exhibit MenaINV- and macrophage-dependent transendothelial migration

Research Article

Sci. Signal., 25 November 2014
Vol. 7, Issue 353, p. ra112
DOI: 10.1126/scisignal.2005329

Jeanine Pignatelli1,*, Sumanta Goswami1,2, Joan G. Jones1,3,4,5, Thomas E. Rohan3, Evan Pieri2, Xiaoming Chen1, Esther Adler4, Dianne Cox1, Sara Maleki4, Anne Bresnick6, Frank B. Gertler7, John S. Condeelis1,5,8,*, and Maja H. Oktay4,*

1 Department of Anatomy and Structural Biology, Albert Einstein College of Medicine, Bronx, NY 10461, USA.
2 Department of Biology, Yeshiva University, New York, NY 10033, USA.
3 Department of Epidemiology and Population Health, Albert Einstein College of Medicine, Bronx, NY 10461, USA.
4 Department of Pathology, Albert Einstein College of Medicine/Montefiore Medical Center, Bronx, NY 10467, USA.
5 Integrated Imaging Program, Albert Einstein College of Medicine, Bronx, NY 10461, USA.
6 Department of Biochemistry, Albert Einstein College of Medicine, Bronx, NY 10461, USA.
7 David H. Koch Institute for Integrative Cancer Research, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02139, USA.
8 Gruss Lipper Biophotonics Center, Albert Einstein College of Medicine, Bronx, NY 10461, USA.

* Corresponding authors.
E-mail:moktay@montefiore.org (M.H.O.); jeanine.pignatelli@einstein.yu.edu (J.P.); john.condeelis@einstein.yu.edu (J.S.C.)

要約 転移はがん進展の複雑な多段階プロセスで、その治療選択肢は僅かである。重要な事象はがん細胞の血管への浸潤(血管内侵入)で、これを通してがん細胞が遠隔臓器に播種する。患者の腫瘍サンプルには、Mena[上皮増殖因子(EGF)−応答性細胞遊走タンパク質]の存在量が増加している乳がん細胞と、TMEM(転移の腫瘍微小環境)部位と呼ばれる血管内侵入部位にマクロファージが認められる。さらに、これらの血管内侵入部位の密度は、患者の転移リスクと相関している。われわれは、がん細胞とマクロファージの間のシグナル伝達を遮断することで、乳がん細胞の血管内侵入を阻止できる可能性を見いだした。患者から穿刺吸引細胞診(FNA)によって種々のサブタイプの浸潤性乳管がん細胞を入手し、in vitro経内皮遊走アッセイを行った結果、ヒト内皮細胞の層を貫いて遊走する細胞は、Menaの浸潤性アイソフォームであるMenaINVをコードする転写物を多く含んでいることを見いだした。この経内皮遊走の亢進はマクロファージを必要とし、すべての乳がんサブタイプで生じていた。FNAにより採取したマウスマクロファージとヒトがん細胞を用いて、コロニー刺激因子-1受容体(CSF-1R)の傍分泌および自己分泌活性化を特定した。シグナルの傍分泌または自己分泌的な性質は、乳がん細胞のサブタイプに依存していた。MenaINVのノックダウン、またはCSF-1R機能を阻止する抗体の添加は、経内皮遊走を抑制した。われわれの所見は、MenaINVとTMEMの頻度が予後マーカーおよびCSF-1と相関していること、さらにMenaINVが複数の乳がんサブタイプの転移を阻止するための治療標的になりえることを示している。

J. Pignatelli, S. Goswami, J. G. Jones, T. E. Rohan, E. Pieri, X. Chen, E. Adler, D. Cox, S. Maleki, A. Bresnick, F. B. Gertler, J. S. Condeelis, and M. H. Oktay, Invasive breast carcinoma cells from patients exhibit MenaINV- and macrophage-dependent transendothelial migration. Sci. Signal. 7, ra112 (2014).

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