• ホーム
  • ヘパリンはオーファン受容体チロシンキナーゼALKの活性化リガンドである

ヘパリンはオーファン受容体チロシンキナーゼALKの活性化リガンドである

Heparin is an activating ligand of the orphan receptor tyrosine kinase ALK

Research Article

Sci. Signal., 20 January 2015
Vol. 8, Issue 360, p. ra6
DOI: 10.1126/scisignal.2005916

Phillip B. Murray1, Irit Lax1, Andrey Reshetnyak1, Gwenda F. Ligon2, Jay S. Lillquist2, Edward J. Natoli Jr.2, Xiarong Shi1, Ewa Folta-Stogniew3, Murat Gunel4,5, Diego Alvarado2, and Joseph Schlessinger1,*

1 Department of Pharmacology, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06520, USA.
2 Kolltan Pharmaceuticals, New Haven, CT 06520, USA.
3 Keck Foundation Biotechnology Resource Laboratory, Yale University, New Haven, CT 06520, USA.
4 Department of Neurosurgery, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06520, USA.
5 Department of Genetics, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06520, USA.

* Corresponding author. E-mail: joseph.schlessinger@yale.edu

要約 未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)は、まだリガンドの知られていない数少ない「オーファン(孤児)」受容体チロシンキナーゼ(RTK)の1つである。リガンドに媒介されるRTKの活性化は、発生の至る所で重要になる。ALKはとくに神経系の発生に関連がある。変異、遺伝子増幅、または間質細胞からのシグナルによるRTKの活性化の亢進は、がんにおける疾患の進行と薬物耐性の獲得に寄与する。ALKの異常活性化は、肺腺がん、神経芽細胞腫、その他のがんのサブセットで発生する。われわれは、ヘパリンがALKの細胞外ドメインに特異的に結合するリガンドであることを見出した。神経芽細胞腫の培養細胞において、鎖長の短いヘパリンはALKと一価結合して受容体を活性化させなかったが、より長いヘパリン鎖はALKの二量体形成と活性化を誘導した。N結合型およびO結合型の硫酸基を欠損したヘパリン、またはヘパリンとは硫酸化パターンの異なる他のグリコサミノグリカンではALKを活性化できなかった。さらに、ALKの細胞外ドメインに結合する抗体はヘパリンの結合に干渉し、ヘパリンによるALKの活性化を妨げた。このようにヘパリンと、もしかすると関連するグリコサミノグリカンも、ALKのリガンドとして機能する。この知見は、in vivoでALKの活性を調節しているかもしれない機構を明らかにし、ALKを標的とするがん治療法を開発するための手法を示唆している。

P. B. Murray, I. Lax, A. Reshetnyak, G. F. Ligon, J. S. Lillquist, E. J. Natoli, X. Shi, E. Folta-Stogniew, M. Gunel, D. Alvarado, and J. Schlessinger, Heparin is an activating ligand of the orphan receptor tyrosine kinase ALK. Sci. Signal. 8, ra6 (2015).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2015年1月20日号

Editors' Choice

炎症
PAMPではなくDAMPを遮断する

Research Article

ヘパリンはオーファン受容体チロシンキナーゼALKの活性化リガンドである

シナプトジャニン2は新薬の開発につながる転移のメディエーターであり、その遺伝子は乳がんにおいて過剰発現され増幅されている

PI3Kγの調節サブユニットは別々の好中球応答を制御する

最新のResearch Article記事

2025年11月25日号

p16発現がサイクリンE1誘導性卵巣がんにおいてCDK2阻害薬に対する感受性を与える

2025年11月25日号

EGFR変異型肺がんにおいてSOS1の阻害はオシメルチニブ耐性の発現を抑制し、持続的効果を生じる

2025年11月18日号

IFN-Iシグナル伝達が放射線照射後の唾液腺幹細胞および前駆細胞の活性を高める

2025年11月11日号

SH2ドメイン含有シグナル伝達タンパク質SHP2およびSRCではイオン化可能なネットワークがpH依存性アロステリーを仲介する

2025年11月11日号

CSF1R-CAR T細胞はCSF1Rシグナル伝達を誘導し、標的細胞の増殖を促進しうる