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キナーゼCK1αによるFADDのリン酸化はKRASG12D誘導性肺がんを促進する

Phosphorylation of FADD by the kinase CK1α promotes KRASG12D-induced lung cancer

Research Article

Sci. Signal., 27 January 2015
Vol. 8, Issue 361, p. ra9
DOI: 10.1126/scisignal.2005607

Brittany M. Bowman1, Katrina A. Sebolt2, Benjamin A. Hoff3, Jennifer L. Boes3, Danette L. Daniels4, Kevin A. Heist3, Craig J. Galbán3, Rajiv M. Patel5, Jianke Zhang6, David G. Beer2, Brian D. Ross1,3, Alnawaz Rehemtulla2,*, and Stefanie Galbán2

1 Department of Biological Chemistry, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
2 Department of Radiation Oncology, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
3 Department of Radiology, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
4 Promega Corporation, Madison, WI 53711, USA.
5 Departments of Pathology and Dermatology, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
6 Department of Microbiology and Immunology, Thomas Jefferson University, Philadelphia, PA 19107, USA.

* Corresponding author. E-mail: alnawaz@umich.edu

要約 タンパク質FADD(Fas関連デスドメイン)をコードする遺伝子のゲノム増幅およびFADDのリン酸化は、肺がんおよび頭頸部がんにおける臨床転帰不良と関連している。グアノシントリホスファターゼRASにおける活性化変異は、様々ながんで細胞増殖を促進する。患者由来の腫瘍標本におけるリン酸化FADDの存在量の増加は臨床転帰不良を予測する。われわれは、KRASG12D誘導性肺がんのコンディショナルマウスモデルの免疫組織化学分析およびin vivoイメージングにより、FADDをコードする遺伝子の欠損が、腫瘍増殖を抑制し、細胞増殖率を低下させ、網膜芽細胞腫(RB)およびサイクリンD1を含む細胞周期を促進するRAS-MAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)経路の下流エフェクターの活性化を低下させることを発見した。マウス胚線維芽細胞では、KRASの活性化による有糸分裂の誘導は、FADDおよびCK1α(カゼインキナーゼ1α)によるFADDのリン酸化を必要とした。KRAS変異マウスにおけるCK1αをコードする遺伝子の欠損は、FADDのリン酸化を抑制し、肺がんの発症を抑えた。リン酸化FADDは、細胞周期のG2/M期に最も豊富であり、質量分析により、リン酸化FADDが、PLK1(Polo様キナーゼ1)、AURKA(オーロラキナーゼA)、およびBUB1(ベンゾイミダゾールにより阻害されない出芽1)含むG2/M移行を媒介するキナーゼと相互作用することがわかった。この相互作用は、CK1α阻害剤CKI-7で処理した細胞で減少した。したがって、RASの下流でFADDをリン酸化するキナーゼとして、CK1αはKRAS誘導性肺がんの治療標的となる可能性がある。

B. M. Bowman, K. A. Sebolt, B. A. Hoff, J. L. Boes, D. L. Daniels, K. A. Heist, C. J. Galbán, R. M. Patel, J. Zhang, D. G. Beer, B. D. Ross, A. Rehemtulla, and S. Galbán, Phosphorylation of FADD by the kinase CK1α promotes KRASG12D-induced lung cancer. Sci. Signal. 8, ra9 (2015).

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