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敗血症中、腫瘍壊死因子(TNF)受容体の肝細胞表面からの分断はcGMPシグナル伝達を介して炎症を制限している

Shedding of the tumor necrosis factor (TNF) receptor from the surface of hepatocytes during sepsis limits inflammation through cGMP signaling

Research Article

Sci. Signal., 27 January 2015
Vol. 8, Issue 361, p. ra11
DOI: 10.1126/scisignal.2005548

Meihong Deng1, Patricia A. Loughran1,2, Liyong Zhang1, Melanie J. Scott1, and Timothy R. Billiar1,*

1 Department of Surgery, University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA 15213, USA.
2 Center for Biologic Imaging, University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA 15213, USA.

*Corresponding author. E-mail: billiartr@upmc.edu

要約 細胞表面からの腫瘍壊死因子(TNF)受容体(TNFR)のタンパク質切断は、抗炎症性反応に寄与しており、敗血症の際の多臓器不全と死亡に関連する過度の炎症の軽減に有益かもしれない。臨床的に重要な多微生物性腹部敗血症のマウスモデルを用いて、われわれは肝細胞における誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の産生が、環状グアノシン一リン酸(cGMP)に依存したプロテアーゼTACE(TNF変換酵素)の活性化とTNFRの脱落を引き起こすことを見出した。さらに、敗血症を誘導した後にcGMPアナログでマウスを処理すると、TNFRの脱落は亢進され、全身性炎症は軽減された。同様に、臨床的に認可されたホスホジエステラーゼ5阻害薬(シルデナフィル)でcGMP量を増加させた場合も、敗血症マウスの全身性炎症マーカーは減少し、臓器は損傷から保護され、循環血中のTNFR1量は増加した。われわれはさらに、細菌産物のリポ多糖類に応答したヒト肝細胞によるTNFR1の脱落にも同様のiNOS-cGMP-TACE経路が必要であることを確認した。われわれのデータは、敗血症関連の炎症を寛解させるうえでcGMPの生物学的利用能の増大が有益かもしれないことを示唆している。

M. Deng, P. A. Loughran, L. Zhang, M. J. Scott, and T. R. Billiar, Shedding of the tumor necrosis factor (TNF) receptor from the surface of hepatocytes during sepsis limits inflammation through cGMP signaling. Sci. Signal. 8, ra11 (2015).

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