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1型糖尿病マウスモデルにおいてロイコトリエンB4介在性の無菌性炎症は敗血症感受性を増進する

Leukotriene B4–mediated sterile inflammation promotes susceptibility to sepsis in a mouse model of type 1 diabetes

Research Article

Sci. Signal., 27 January 2015
Vol. 8, Issue 361, p. ra10
DOI: 10.1126/scisignal.2005568

Luciano Ribeiro Filgueiras1,2, Stephanie L. Brandt1, Soujuan Wang1, Zhuo Wang1, David L. Morris3, Carmella Evans-Molina3, Raghavendra G. Mirmira3, Sonia Jancar2, and C. Henrique Serezani1,*

1 Department of Microbiology and Immunology, Indiana University School of Medicine, Indianapolis, IN 46202, USA.
2 Immunology Department, Institute of Biomedical Sciences, University of São Paulo, São Paulo 05508, Brazil.
3 Department of Medicine, Indiana University School of Medicine, Indianapolis, IN 46202, USA.

* Corresponding author. E-mail: hserezan@iu.edu

要約 1型糖尿病(T1DM)は、慢性の全身性炎症と、全身性細菌感染症(敗血症)に対する感受性の増大を伴う。われわれは、T1DMにおけるインスリン濃度の低下により、酵素5-リポキシゲナーゼ(5-LO)が刺激されて脂質メディエーターロイコトリエンB4(LTB4)を産生し、LTB4が全身性炎症を引き起こし、多菌性敗血症に対する感受性を増大させるのではないかという仮説を立てた。慢性炎症に一致して、2つのT1DMマウスモデルの腹腔マクロファージでは、非糖尿病マウスのマクロファージと比べて、アダプターMyD88(ミエロイド系分化因子88)とその直接の転写エフェクターSTAT-1(シグナル伝達性転写因子1)の存在量が大きかった。5-LOをコードするAlox5の発現と、炎症性サイトカインインターロイキン-1β(IL-1β)の濃度も、T1DMマウスの腹腔マクロファージと血清において増加した。インスリン投与によって、T1DMマウスの血中ではLTB4濃度が低下し、マクロファージではMyd88およびStat1発現が低下した。5-LO阻害薬を投与したT1DMマウスにおいては、マクロファージでMyd88 mRNAが減少し、血中ではIL-1受容体アンタゴニストの存在量が増加し、IL-βの産生が低下した。5-LOを欠損またはLTB4の受容体を欠損したT1DMマウスでも、炎症性サイトカインの産生が低下した。野生型マウスまたは未投与糖尿病マウスと比較して、LTB4受容体を欠損したまたは5-LO阻害薬を投与したT1DMマウスでは、多菌性敗血症後の生存率が高く、炎症性サイトカインの産生が低下し、細菌数が減少した。これらの結果は、糖尿病における無菌性炎症の促進とT1DMにおける敗血症感受性増大への、LTB4の関与を明らかにしている。

L. R. Filgueiras, S. L. Brandt, S. Wang, Z. Wang, D. L. Morris, C. Evans-Molina, R. G. Mirmira, S. Jancar, and C. H. Serezani, Leukotriene B4-mediated sterile inflammation promotes susceptibility to sepsis in a mouse model of type 1 diabetes. Sci. Signal. 8, ra10 (2015).

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