• ホーム
  • 天然変性領域内の縦列に並んだリン酸化がACTN4の機能を調節する

天然変性領域内の縦列に並んだリン酸化がACTN4の機能を調節する

Tandem phosphorylation within an intrinsically disordered region regulates ACTN4 function

Research Article

Sci. Signal., 26 May 2015
Vol. 8, Issue 378, p. ra51
DOI: 10.1126/scisignal.aaa1977

Timothy Travers1, Hanshuang Shao2, Brian A. Joughin3, Douglas A. Lauffenburger4, Alan Wells2, and Carlos J. Camacho1,*

1 Department of Computational and Systems Biology, University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA 15260, USA.
2 Department of Pathology, University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA 15260, USA.
3 Koch Institute for Integrative Cancer Research, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02139, USA.
4 Department of Biological Engineering, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02139, USA.

* Corresponding author. E-mail: ccamacho@pitt.edu

要約 残基のリン酸化は真核生物タンパク質の天然変性領域で優先的に起こる。ヒトα-アクチニン-4(ACTN4)のアミノ末端にある変性領域の場合、上皮増殖因子(EGF)で刺激された細胞内でTyr4とTyr31がリン酸化され、両チロシンのリン酸化を模倣した変異をもつ変異体では、in vitroでのアクチンとの相互作用が低下する。運動性細胞において後方で優勢的に活性化されるプロテアーゼのmカルパインでACTN4を切断すると、Tyr4部位が除去される。われわれは、Tyr31のみにリン酸化を模倣した変異を導入すると、in vitroでのアクチンとの相互作用が十分に阻害されることを見出した。しかし、分子動態シミュレーションでは、Tyr31はほとんど埋もれており、Tyr4がリン酸化されることでTyr31の溶媒への露出、ひいてはキナーゼとの接近性が高まることが予測された。線維芽細胞では、EGFで刺激すると、Tyr4にリン酸化を模倣した変異をもつACTN4変異体のチロシンリン酸化が増加した一方で、mカルパインによる切断の産物に相当する切断型変異体では、Tyr4とTyr31の二重リン酸化模倣変異体で観察されたのと同様に、EGF刺激によるチロシンリン酸化はバックグラウンド量であった。われわれは、AXLなどのTAMファミリーに属する受容体チロシンキナーゼを阻害するとEGF刺激によるACTN4のチロシンリン酸化が遮断されることも見出した。数理モデルでは、Tyr31のリン酸化の動態はTyr4のキナーゼ親和性によって決定されることが予測された。この研究によって、天然変性領域内の縦列に並んだ部位のリン酸化は、一方の部位が、その近隣にある機能調節部位を露出させるためのスイッチとして機能するためのメカニズムを提供していることが示唆される。

T. Travers, H. Shao, B. A. Joughin, D. A. Lauffenburger, A. Wells, and C. J. Camacho, Tandem phosphorylation within an intrinsically disordered region regulates ACTN4 function. Sci. Signal. 8, ra51 (2015).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2015年5月26日号

Editors' Choice

代謝
十二指腸を標的にして糖尿病をコントロールする

Research Article

大規模スクリーニングによってキイロタマホコリカビの走電性を仲介する遺伝子を明らかにする

天然変性領域内の縦列に並んだリン酸化がACTN4の機能を調節する

HER2-mTORシグナル伝達で誘導される乳がん細胞の生存にはER関連分解が必要

最新のResearch Article記事

2025年03月11日号

骨髄のサーチュイン6欠損はノルエピネフリンの分解を誘導することによって発熱性組織機能を制限してマウスの肥満を引き起こす

2025年03月11日号

NEMOはキナーゼIKKαおよびATMのDNA損傷部位への誘導に不可欠である

2025年03月04日号

アセチルトランスフェラーゼGCN5はミクログリア細胞でNF-κBサブユニットp65をアセチル化して活性化することによりマウスの神経炎症に寄与する

2025年02月25日号

グルタミン酸作動性のアルゴノート2がマウスにおいて神経血管ユニットの形成を促進する

2025年02月18日号

バソプレシン2型受容体が媒介する持続的Gαsシグナル伝達はリガンド依存性だがエンドサイトーシスとβ-アレスチンには依存しない