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アダプタータンパク質TRAF3はインターロイキン-6受容体シグナル伝達を阻害し、形質細胞の発生を制限する

The adaptor protein TRAF3 inhibits interleukin-6 receptor signaling in B cells to limit plasma cell development

Research Article

Sci. Signal. 01 Sep 2015:
Vol. 8, Issue 392, pp. ra88
DOI: 10.1126/scisignal.aaa5157

Wai W. Lin,1 Zuoan Yi,2 Laura L. Stunz,2 Christian J. Maine,3 Linda A. Sherman,3 Gail A. Bishop1,2,4,5*

1 Graduate Immunology Program, University of Iowa, Iowa City, IA 52242, USA.
2 Department of Microbiology, University of Iowa, Iowa City, IA 52242, USA.
3 Department of Immunology and Microbial Sciences, The Scripps Research Institute, La Jolla, CA 92037, USA.
4 Department of Internal Medicine, University of Iowa, Iowa City, IA 52242, USA.
5 Veterans Affairs Medical Center, Iowa City, IA 52246, USA.

* Corresponding author. E-mail: gail-bishop@uiowa.edu

要約 腫瘍壊死因子受容体関連因子3(TRAF3)は、CD40およびB細胞活性化因子(BAFF)受容体によるシグナル伝達を阻害するアダプタータンパク質であり、恒常性B細胞の生存を負に制御している。TRAF3の機能喪失変異は、ヒトB細胞悪性腫瘍、特に多発性骨髄腫と関連している。サイトカインであるインターロイキン-6(IL-6)は、正常および腫瘍性形質細胞の分化および生存を支持する。われわれは、B細胞特異的にTRAF3を欠損とするマウス(B-Traf3−/−マウス)が、同腹対照マウスの約2倍の形質細胞を持つことを発見した。TRAF3欠損B細胞ではIL-6に対する応答性が高まり、B-Traf3−/−マウスにおいてIL-6遺伝子を欠損させると、形質細胞数を正常へ回復させた。TRAF3は、PTPN22(非レセプタータンパク質チロシンホスファターゼ)とキナーゼであるヤヌス活性化キナーゼ1(Jak1)の結合を促進することによりIL-6受容体(IL-6R)媒介性シグナル伝達を阻害し、それにより、転写因子STAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子3)のリン酸化を阻害した。これらの結果と一致して、PTPN22欠損マウスにおける形質細胞の数は、野生型マウスと比較して増加していた。われわれの発見は、B細胞におけるIL-6Rシグナル伝達の阻害因子としてTRAF3およびPTPN22を同定し、形質細胞分化の制御におけるTRAF3のこれまでに特徴づけられていない役割を明らかにした。

Citation: W. W. Lin, Z. Yi, L. L. Stunz, C. J. Maine, L. A. Sherman, G. A. Bishop, The adaptor protein TRAF3 inhibits interleukin-6 receptor signaling in B cells to limit plasma cell development. Sci. Signal. 8, ra88 (2015).

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