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Gタンパク質間の機能的識別の独自のプロファイルがGタンパク質共役受容体の作用を決定する

Distinct profiles of functional discrimination among G proteins determine the actions of G protein–coupled receptors

Research Article

Sci. Signal. 01 Dec 2015:
Vol. 8, Issue 405, pp. ra123
DOI: 10.1126/scisignal.aab4068

Ikuo Masuho1, Olga Ostrovskaya1, Grant M. Kramer1,2, Christopher D. Jones1,2, Keqiang Xie1, and Kirill A. Martemyanov1,*

1 Department of Neuroscience, The Scripps Research Institute Florida, Jupiter, FL 33458, USA.
2 Harriet L. Wilkes Honors College, Florida Atlantic University, Jupiter, FL 33458, USA.

* Corresponding author. E-mail: kirill@scripps.edu

要約 ヘテロ三量体であるグアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)共役受容体(GPCR)ファミリーのメンバーは、多数の生理機能に重要な役割を果たし、疾患治療のため薬理学的に広範に利用されている。個々のGPCRが細胞生理に対して果たしている多様な作用の多くは、α、βおよびγサブユニットから構成されるヘテロ三量体Gタンパク質により伝達される。GPCRはグアノシン三リン酸(GTP)と相互作用し、GTPとαサブユニットとの結合を刺激してシグナル伝達を開始させる。哺乳類のゲノムは、それぞれに独自の特性をもつ、16の異なるGタンパク質αサブユニットをコードしている。われわれは生細胞におけるGタンパク質の活性化をモニターするための、単一プラットフォームの光学的戦略を開発した。この系を用いて、異なるαサブユニットに対する個々のGPCRの共役能をプロファイリングし、同時にシグナルの強度、ならびに受容体がGタンパク質を活性化する速度を定量化した。その結果、個々の受容体は様々な効力およびキネティクスで複数のGタンパク質と結合し、指紋様のプロファイルを生じさせていることを見いだした。フルアゴニスト、部分アゴニスト、アロステリック調節因子およびアンタゴニストを含む多様なクラスのGPCRリガンドが、これらの指紋に独自に影響し、GPCRシグナル伝達に機能的なバイアスをかけていた。最後にわれわれは、細胞内のシグナル伝達調節因子がGPCRのGタンパク質共役プロファイルをさらに変化させることを明らかにした。このことは、その存在量の違いが、細胞特異的にシグナル伝達の結果を変化させる可能性を示唆している。これらの観察結果は、細胞生理に対するGPCRの影響の多様性が、共役により様々なシグナルの強さと活性化のキネティクスを持つシグナルを生じさせる複数のGタンパク質の差次的な関与によって決定されること、またその特性を薬理学的に利用できるかもしれないことを示唆している。

Citation: I. Masuho, O. Ostrovskaya, G. M. Kramer, C. D. Jones, K. Xie, K. A. Martemyanov, Distinct profiles of functional discrimination among G proteins determine the actions of G protein-coupled receptors. Sci. Signal. 8, ra123 (2015).

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