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タンパク質キナーゼの結晶における自己リン酸化複合体の三次元構造の同定

Identifying three-dimensional structures of autophosphorylation complexes in crystals of protein kinases

Research Resources

Sci. Signal. 01 Dec 2015:
Vol. 8, Issue 405, pp. rs13
DOI: 10.1126/scisignal.aaa6711

Qifang Xu1, Kimberly L. Malecka1, Lauren Fink1, E. Joseph Jordan2, Erin Duffy1,*, Samuel Kolander1,†, Jeffrey R. Peterson1, and Roland L. Dunbrack Jr.1,‡

1 Institute for Cancer Research, Fox Chase Cancer Center, Philadelphia, PA 19111, USA.
2 Department of Bioengineering, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.

‡ Corresponding author. E-mail: roland.dunbrack@fccc.edu

* Present address: Department of Chemistry, University of Wisconsin, Madison, WI 53706, USA.

† Present address: Albert Einstein College of Medicine, Bronx, NY 10461, USA.

要約  タンパク質キナーゼの自己リン酸化は、細胞シグナル伝達経路の一般的な調節機構である。いくつかのホモマータンパク質キナーゼ複合体の結晶構造には、一つのキナーゼモノマーの活性部位に位置するもう一つのモノマーのセリン、トレオニンまたはチロシンの自己リン酸化部位があり、われわれが「自己リン酸化複合体」と呼ぶ構造複合体をなしている。われわれは、タンパク質データバンク(PDB)のX線結晶構造において、すべてのこのような自己リン酸化複合体を同定する構造バイオインフォマティクス法を開発し、適用した。われわれは、PDBにおいて15の自己リン酸化複合体を同定し、そのうち5つの複合体は、これまでに結晶構造に関する論文に記述されていないものであった。これら5つの複合体は、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)およびエフリン受容体A2(EPHA2)のN末端膜近傍領域のチロシン残基(CSF1R: Tyr561、EPHA2: Tyr594)、SRCキナーゼファミリーメンバーLCKおよびインスリン様成長因子1受容体(IGF1R)の活性化ループのチロシン残基(LCK: Tyr394、IGF1R: Tyr1166)、およびCDC様キナーゼ2(CLK2)の核局在化シグナル領域のセリン(Ser142)からなる。複合体インタフェースにおける変異は、自己リン酸化活性を変え、疾患に寄与しうる。従って、われわれは、LCKの自己リン酸化複合体インタフェースの残基を変異させ、2つの変異(T445VとN446A)が自己リン酸化を喪失させ、Pro447のAla、GlyまたはLeuへの変異は自己リン酸化を増加させることを見出した。同定された自己リン酸化部位は、多くのキナーゼにおいて保存されており、相同性によって、これらの複合体は、重要な薬剤標的であるキナーゼの自己リン酸化複合体インタフェースへの洞察を与えうることを示唆している。

Citation: Q. Xu, K. L. Malecka, L. Fink, E. J. Jordan, E. Duffy, S. Kolander, J. R. Peterson, R. L. Dunbrack Jr., Identifying three-dimensional structures of autophosphorylation complexes in crystals of protein kinases. Sci. Signal. 8, rs13 (2015).

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