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マウスにおけるサルモネラ感染時の自然免疫応答の協調作用は獲得免疫系の協調作用と相反する

Coordinate actions of innate immune responses oppose those of the adaptive immune system during Salmonella infection of mice

Research Article

Sci. Signal. 12 Jan 2016:
Vol. 9, Issue 410, pp. ra4
DOI: 10.1126/scisignal.aaa9303

Andrew N. Hotson1,2,*, Smita Gopinath2,*, Monica Nicolau1, Anna Khasanova1, Rachel Finck1,2, Denise Monack2, and Garry P. Nolan1,2,†

1 The Baxter Laboratory for Stem Cell Biology, Stanford University School of Medicine, Stanford, CA 94305, USA.
2 Department of Microbiology and Immunology, Stanford University School of Medicine, Stanford, CA 94305, USA.

† Corresponding author. E-mail: gnolan@stanford.edu

* These authors contributed equally to this work.

要約 免疫系は、複雑な環境および病原性摂動に直面すると、協調応答を作動させる。本研究では持続性サルモネラ(Salmonella)感染に対するマウスの異種反応を用いて、細菌負荷に対する系全体での免疫応答の協調をモデル化した。われわれは、遺伝学的に同一のマウス間での細菌増殖および免疫応答の結果の違いを用いれば、自然免疫系と獲得免疫系の共調節および相互関連性を可能にするインテグレーターとして作用する免疫要素を特定できると仮定した。サルモネラ感染に対する免疫応答の差の相関解析の結果、細菌量と少なくとも4つの別個の相互作用機能的免疫応答「カセット」の関係が示された。慢性感染マウスにおけるそのうちの一つ、自然カセットには、自然免疫系の特徴、全身性好中球増加および炎症性サイトカインであるインターロイキン-6の血清中高濃度が含まれた。細菌量が中程度のマウスと比べ、細菌負荷が最高のマウスは、この自然カセットの活性が高く、獲得T細胞カセットの活性が低く(血漿細胞および CD4+ Tヘルパー1細胞が少なく、制御性T細胞が多い)、サイトカインシグナル伝達カセットの活性も低かった。系全体での好中球数の調節により、好中球が感染時のB細胞におけるシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)シグナル伝達を制御することが明らかになった。以上、ネットワークレベルでのアプローチにより、疾患の動的経過における自然免疫応答と獲得免疫応答のバランスを取る、これまで認識されていなかった相互関連性が明らかになり、病原体感染状態と関連するシグナルおよびサイトカインシグナル伝達における好中球の制御的役割が特定された。

Citation: A. N. Hotson, S. Gopinath, M. Nicolau, A. Khasanova, R. Finck, D. Monack, G. P. Nolan, Coordinate actions of innate immune responses oppose those of the adaptive immune system during Salmonella infection of mice. Sci. Signal. 9, ra4 (2016).

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