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シグナル伝達とトランスクリプトミクスデータテンソルを関連付けるモデルによって転写因子GATA6におけるTNF-インスリン間のクロストークが明らかに

TNF-insulin crosstalk at the transcription factor GATA6 is revealed by a model that links signaling and transcriptomic data tensors

Research Article

Sci. Signal. 07 Jun 2016:
Vol. 9, Issue 431, pp. ra59
DOI: 10.1126/scisignal.aad3373

Zeinab Chitforoushzadeh1,2, Zi Ye1,*,†, Ziran Sheng1,*, Silvia LaRue1,‡, Rebecca C. Fry3, Douglas A. Lauffenburger4, and Kevin A. Janes1,§

1 Department of Biomedical Engineering, University of Virginia, Charlottesville, VA 22908, USA.
2 Department of Pharmacology, University of Virginia, Charlottesville, VA 22908, USA.
3 Department of Environmental Sciences and Engineering, Gillings School of Global Public Health, University of North Carolina at Chapel Hill, Chapel Hill, NC 27599, USA.
4 Department of Biological Engineering, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02139, USA.

§ Corresponding author. Email: kjanes@virginia.edu

* These authors contributed equally to this work.

Present address: Department of Biomedical Engineering, University of Minnesota, Minneapolis, MN 55455, USA.

Present address: Office of the Vice President for Research, University of Virginia, Charlottesville, VA 22908, USA.

要約

シグナル伝達ネットワークは、増殖因子やサイトカインなど、多様な細胞外刺激によって活性化される転写プログラムを調和させる。細胞は複数の刺激を同時に受けるが、それらを統合したシグナル伝達ネットワークの活性化が遺伝子発現にどう影響するかをマッピングするのは困難である。われわれは、サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)と増殖因子であるインスリンと上皮増殖因子(EGF)の多様な組み合わせで結腸腺がん細胞を刺激し、シグナルの統合と転写のクロストークを調べた。プロテオミクスとトランスクリプトミクスのデータセットを、テンソル部分最小二乗回帰と呼ばれる構造化された計算論的手法で定量的に関連付けた。この統計モデルは、単一刺激と複合刺激によって生じるシグナル伝達から転写シグネチャを正確に予測し、シグナル伝達イベントの時間依存的な寄与も予測した。具体的には、初期段階のインスリン下流のAKT関連シグナルが、TNFによって誘導される転写産物を抑制した。バイオインフォマティクスと細胞に基づく実験によって、われわれはAKTに抑制されるシグナルとして、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3(GSK3)に触媒される転写因子GATA6の長鎖型のSer37のリン酸化を同定した。Ser37をリン酸化させるとGATA6の分解が促進され、したがって、TNFによって誘導され、インスリンによって減弱される転写産物をGATA6が抑制するのを阻害した。われわれの解析では、プロテオミクスデータセットとトランスクリプトミクスデータセットの予測的テンソルモデリングによって、複数の刺激を受けた細胞に特異的な遺伝子発現パターンを生む経路クロストークを明らかにできることが示された。

Citation: Z. Chitforoushzadeh, Z. Ye, Z. Sheng, S. LaRue, R. C. Fry, D. A. Lauffenburger, K. A. Janes, TNF-insulin crosstalk at the transcription factor GATA6 is revealed by a model that links signaling and transcriptomic data tensors. Sci. Signal. 9, ra59 (2016).

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